社会の高齢化に伴い、面倒を見られなくなった先祖代々の仏壇を手放す方が、2010年ころから徐々に増えてきています。
従来であれば、寺院やお坊さんとの付き合いもあり、仏壇のご供養処分について相談する相手もありました。ただ、寺院との関係も希薄になり、どのようにして仏壇の供養や処分をして手放せばよいのか、わからない方が多いのも現実です。
このようなニーズに応じて、仏壇のご供養処分を行う専門業者も徐々に増加しています。ただ、みな初めての経験なので、業者に依頼することにとても不安を持っています。
【業者による仏壇梱包】
「本当に、きちんと魂抜きやお性根抜きなどの供養をしてくれるのだろうか?」「普通の家具と同じように、仏壇をそのままポイッと捨ててしまうのではないか?」など、どこまで信用したらいいのかよくわからないのです。
ただ心配する必要はありません。仏壇のご供養~整理処分を専門業者に依頼する場合は、「魂・お性根抜きの状況確認」「ご供養内容の把握」「回収時の梱包方法」の3つのチェックポイントを知っておけば、失敗することはありません。
今回は、「仏壇処分を専門業者に依頼する場合の、押さえておきたい3つのチェックポイント」について解説します。
ポイントその1:魂抜き・お性根抜きの状況が確認できるか?
1番目のチェックポイントは、「魂抜き・お性根抜きの実施状況を、確認する方法があるか?」になります。
なぜなら、仏壇ご供養整理の専門業者に仏壇の処分を依頼した場合に、もっとも不安なのは、「魂抜き・お性根抜きをきちんとしてもらえるか?」という点だからです。
仏壇は、初め(購入時)にお坊さんによって魂入れ(たましいいれ)や、お性根入れ(おしょうねいれ)という仏教の儀式を行っています。この儀式を開眼供養(かいげんくよう)といいます。
仏様やご先祖様の魂(霊)が、この魂入れにより仏壇や位牌に宿ることにより、日々のご供養や感謝の対象になるのです。したがって、仏壇を処分するにあたり、まずは「魂を抜く」という儀式を行う必要があります。
魂抜きは、お性根抜き(おしょうねぬき)とか閉眼供養(へいがんくよう)ともいいます。なお、浄土真宗にはこの魂入れや魂抜きという概念がありませんが、代わりに入仏・遷座供養という読経を行っています。
あなたが、業者に仏壇処分を依頼した場合に、魂抜き・お性根抜きの状況を確認するには、以下のような方法があります。
・供養の様子を撮影した動画で確認する
・供養の様子を撮影した写真で確認する
それぞれについて解説します。
直接お坊さんに来てもらい、目の前で供養してもらう
「直接お坊さんに来てもらい、目の前で供養してもらう」ことがもっとも確実です。お坊さんの手配や紹介をしてもらえるご供養仕舞い専門業者がありますので、そちらを利用します。
【魂抜き・お性根抜きご供養中】
業者に依頼されるほとんどの方は、お坊さんとのお付き合いがありません。
そのため、多くの場合は、先に仏壇を回収した後、業者の供養場でお坊さんにより魂抜き・お性根抜きをしてもらうシステムが基本です。したがってこの場合、直接魂抜き・お性根抜きの状況を確認できません。
それに比べ、お坊さんに自宅などに来て頂く場合、多少料金は高くなりますが、直接あなたの目の前で魂抜き・お性根抜きのご供養をしてもらえますので安心です。
そして、目の前で供養をしてもらったあと、業者により仏壇が回収搬出されます。
できるだけ料金を抑えたい場合は、次の確認方法があります。
供養の様子を撮影した動画で確認
お坊さんに来てもらわない場合、仏壇はまず業者が回収に来て、業者の供養場へ運び込まれます。そこで後日お坊さんによる魂抜き・お性根抜きの儀式を行ないます。
この場合、あなたはその場にいませんから、供養の様子を撮影した動画で確認することになります。
「直接お坊さんに来てもらい、目の前で供養してもらう」ことに比べると少し不安ですが、ほぼ確実に魂抜き・お性根抜きのご供養の状況を確認することができます。
魂抜き・お性根抜きの様子を撮影した動画は、通常業者のホームページ上で視聴できます。
供養の様子を撮影した写真で確認
動画と同様に、写真で確認するという方法もあります。魂抜き・お性根抜きの様子を、家族や親類などに見てもらう場合は、動画より写真のほうがより手軽に確認してもらいやすいかもしれません。
なお、お坊さんの手配・紹介や、動画・写真撮影サービスを取り扱っていない業者もありますので、業者への問い合わせ時に確認して下さい。
【ご供養証明写真例】
以上「魂抜き・お性根抜きの状況をあなたが確認する方法があるか?」は大事なチェックポイントですので、ぜひ事前に確認して下さい。
ポイントその2:供養証明書などでご供養内容が把握できるか?
2番目のチェックポイントは、「魂抜き・お性根抜きご供養の具体的内容を把握できるか?」です。具体的内容とは、
・供養実施場所
・導師様名と、所属寺院名
・供養の対象物詳細(名称と数量)
・法要の種類
などになります。
これらは、業者が発行する「ご供養証明書やご供養完了報告書」などで確認することができます。これらの内容を明らかにしている場合、その業者は信用してもよいと思います。
【ご供養証明書例】
また、これらの内容を聞いても教えてもらえない場合は、依頼を一旦見合わせた方がよいかもしれません。
ポイントその3:仏壇回収時の梱包~搬出方法の確認ができるか?
3番目のチェックポイントは、「仏壇回収時の梱包~搬出方法」です。これは、「ご近所に仏壇を処分することを知られないようにしてほしい」という希望が一番多いからです。
具体的には、
・運搬車に社名や業種が表示されていないか?
などが主なチェックポイントになります。
【業者による仏壇搬出】
仏壇をきちんと梱包して搬出してもらえるかどうか、事前に依頼業者に確認をして下さい。
以上、「仏壇処分を専門業者に依頼する場合の、押さえておきたい3つのチェックポイント」について解説しました。
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