仏壇処分をする人が増えてきています。日本社会の超高齢化に伴い、「継承できない」「面倒を見られない」などが主な理由です。
そして、このようなやむを得ない理由以外にもさまざまな事情があります。あまり他人に知られたくないような事情がある人もいます。また、「寺院やお坊さんとのわずらわしい関係をやめたい」という希望によって、仏壇処分をする人もいます。
【仏壇供養中】
ただ、このように仏壇を処分する場合、多くの人は「自分だけがこのように仏壇を処分しているのではないか?」と不安になります。
さらに、「ご先祖様に対して何かしらの後ろめたさがある」などと思いがちです。これは、「仏壇は代々受け継がれるもの」という固定概念があるからです。
現実には、寺院やお坊さんとの付き合いもだんだん疎遠になってきており、檀家制度も徐々に崩壊しつつあります。
こうした中、仏壇の処分をする場合は、「いろいろな事情とその対策」を知っていれば、固定概念にとらわれることなく進めることができます。
仏壇処分をするさまざまな事情
仏壇処分をする人は多い?
2005年あたりから仏壇を処分する人が徐々に増えてきています。当初は、遺品整理をする人が仏壇も同時に処分するパターンがよく見られました。
【遺品整理中】
そしてだんだんと、遺品整理と同時にではなく、仏壇処分だけを単独で行う人が増えてきています。私は、高齢社会対策ビジネスに従事しているため、このような現実を知ることができます。
たとえば、私が運営している仏壇供養整理サービスの過去データによると、2008年当時で月に2~3件であった仏壇処分依頼件数が、2016年には月に15~20件程度に増えています。(大阪地区データ)
「他にも仏壇処分をする人はたくさんいるのか?」と不安になる人も多いのですが、実は結構多くの人が困っているというのが現実です。
仏壇処分をする事情あれこれ
仏壇処分をする人の事情や理由は、主に以下のようなパターンに分けられます。あなたもおそらく、この中のどれかに当てはまると思います。
パターンA:個人が必要性に迫られた場合
両親が亡くなったが、実家の仏壇を継承して面倒を見ることができない
実家の仏壇を引き取っても、置くスペースや部屋がない
引越し先に仏壇を持っていっても置く場所がない
親が高齢者施設に入居する際に、仏壇を持ち込めない
【仏壇運搬中】
パターンB:自分の意志で行なう場合
子どもに仏壇の継承で迷惑をかけられないため、早いうちに処分しておきたい
自分は無宗教なので、先祖代々の仏壇は継承しないと決めている
仏壇は処分して、位牌のみを持ち続けようと思う
パターンC:檀家を離れたい場合
檀家寺やお坊さんとのわずらわしい関係を解消したい
お坊さんとは一回ポッキリだけのおつきあいにしたい
宗派・宗教を変えたい
パターンD:法人・施設が必要性に迫られた場合
成年後見人業務で、依頼者の残した仏壇の処分に困っている
老人ホーム担当者が、入居者の残した仏壇の処分に困っている
不動産管理業者が、賃貸住宅入居者の残した仏壇の処分に困っている
役所の担当者が、身寄りのない一人暮らしの老人の仏壇処分に困っている
このように仏壇を供養処分する人には、さまざまな事情の人がいます。そして、一番トップの「両親が亡くなったが、実家の仏壇を継承して面倒を見ることができない」という理由が大半を占めます。
仏壇処分をする意外な理由
また、上記のような必要に迫られた理由の他に、次のパターンEがあります。
パターンE:仏壇の買い替えに伴う古い仏壇の処分
仏壇の買い替え理由には、「大きな仏壇より現代風の小さな仏壇のほうが、メンテナンスがしやすい」という点が上げられます。また、デザイン性の観点からも好まれるようになってきています。
また、将来的に仏壇の面倒を見られなくなった場合の、最終的な処分のしやすさを考えて、早いうちから小さな仏壇に買い替えておきたい、と希望する人もいます。
継承する者がいなかったり、子どもに継承する意志がなかったりする場合に、昔ながらの大きくて豪華な仏壇は、処分するのがとても大変だからです。
大きな仏壇は、供養処分するにもそれなりの費用がかかります。そして、大きな仏壇は維持していくのにやはり気が重いものです。
できるだけ早めに、小さな仏壇に買い替えて、精神的に身軽になりたい人も増えてきているのです。
仏壇処分の流れ、2つのポイントとは?
2つのポイント
どのような事情であれ、仏壇処分をする流れには大きく2つのポイントがあります。
一つ目が、「お坊さんに魂・お性根を抜いてもらう」こと。二つ目が「仏壇本体や中身の廃棄処分」です。
ポイント1:魂・お性根抜き
仏壇は初めに買った時にほとんどの宗派で、お坊さんによって魂入れ(たましいいれ)や、お性根入れ(おしょうねいれ)という仏教の儀式を行っています。この儀式を開眼供養(かいげんくよう)といいます。
仏様やご先祖様の魂(霊)が、この魂入れにより仏壇や位牌に宿ることにより、日々のご供養や感謝の対象になるのです。したがって、仏壇を処分するにあたり、まずは「魂を抜く」という儀式を行う必要があります。
魂抜きは、お性根抜き(おしょうねぬき)とか閉眼供養(へいがんくよう)ともいいます。
【魂・お性根抜き供養中】
一つ目のポイントである「魂・お性根を抜いてもらう」ためには、お坊さんに依頼する必要があります。この場合、もともと檀家寺がある場合は、通常その檀家寺のお坊さんに依頼します。
檀家とは、ひらたく言えばその寺院の登録会員やサポーターのようなものです。檀家さん以外には、お坊さんは法要をしない、という寺院も多いのです。
また、檀家寺がない場合は、魂・お性根抜きをしてもらえるお坊さんを、他に探す必要があります。
このような際には、「ご供養じまい専門業者」に依頼するか、「お坊さん紹介サイト」などで検索してお坊さんを探し、魂・お性根抜き法要を依頼するという方法があります。
ポイント2:仏壇の廃棄
お坊さんに魂・お性根抜き法要を行なってもらったあとは、仏壇はただの入れ物になります。そこで、二つ目のポイントである、「仏壇本体や中身の廃棄処分」をする必要があります。自分で廃棄するか、業者に廃棄依頼するかを選択できます。
仏壇本体を自分で廃棄処分される場合は、日本国内では法律上は一般廃棄物(すなわちゴミ扱い)となります。実際に仏壇を粗大ごみとして引き取ってもらえるかどうかは、各自治体のゴミ処分担当部署に問い合わせてください。
【仏壇を粗大ごみで出しているところ】
自身で処分したくない・しない場合は、業者に委託します。民間業者に廃棄依頼をする場合は、産業廃棄物処理業者に依頼してください。
また、「ご供養じまい専門業者」であれば、お坊さんによる魂・お性根抜きご供養から、仏壇の回収処分まで一式を、誰にも知られずにやってもらえます。
事情別の対策
パターンA:個人が必要性に迫られた場合
まずは、魂・お性根抜きをしてもらえるお坊さんに供養を依頼してください。供養後は、お仏壇本体の廃棄処分を、自分で行うかまたは、業者に依頼してください。
お坊さんも廃棄業者も、自分自身で選択することがベースとなります。わずらわしい場合は、一式すべてを「ご供養じまい専門業者」に依頼するという手段もあります。
【ご供養じまい専門業者による梱包】
パターンB:自分の意志で行なう場合
パターンAと同じ流れになります。魂・お性根抜きをしてもらえるお坊さんに供養をしてもらった後、仏壇本体の廃棄処分を、自分で行うか、業者に依頼してください。
パターンC:檀家を離れたい場合
お坊さんとのわずらわしい関係を続けたくない場合は、「ご供養じまい専門業者」に依頼するか、「お坊さん紹介サイト」などでお坊さんを独自で探し、魂・お性根抜き法要を依頼してください。
供養後は、仏壇本体の廃棄処分を、自分で行うかまたは、業者に依頼してください。
パターンD:法人・施設が必要性に迫られた場合
法人や各種施設の場合は、魂・お性根抜きと廃棄処分をそれぞれ単独で行うより、一式を専門業者に依頼するほうが効率的で便利でしょう。
お坊さんの手配や法要の準備、廃棄業者の手配などに時間を取られるくらいなら、本来の業務に専念するほうが、結果として経済的だからです。
パターンE:仏壇の買い替えに伴う古い仏壇の処分
買い替えをする場合は、古い仏壇の処分に関しては、上記のパターンAの方法が基本になります。ただ、買い替えですので、新しい仏壇への魂・お性根入れの儀式が新たに必要になります。
買い替えにともなう、これらの儀式についての詳細は下記関連記事を参照ください。以上、「仏壇処分の事情別、対策と方法」について解説しました。
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