面倒を見られなくなった仏壇や位牌を、やむなく処分せざるをえない人が増えています。
両親が亡くなったり、実家の処分や引っ越しをしたりすることで、仏壇や位牌を継承できなくなることがその主な理由です。今回はそうした仏壇や位牌を、ご先祖様をきちんと供養したうえで整理処分する方法を解説します。
動画(7分19秒)で見たい方はコチラ↓(記事で読みたい方はこの動画の下です)
▶目次
はじめに:仏壇処分の大まかな流れを知る
1、step1:魂・お性根抜き供養をする
1-1、仏壇処分前に供養をする理由
1-2、魂を抜くとは?
1-3、魂抜き供養の3つの方法
2、step2:仏壇の中身を整理する
2-1、位牌の整理処分の方法
2-2、ご本尊(仏像・掛け軸)の整理処分の方法
2-3、遺影写真の整理処分の方法
2-4、過去帳の整理処分の方法
2-5、仏具の整理処分の方法
3、step3:仏壇本体の廃棄処分方法
3-1、市町村の粗大ごみ収集を利用する
3-2、仏壇処分の専門業者に依頼する
4、仏壇処分の費用相場
4-1、お坊さんへのお布施金額の相場
4-2、仏壇廃棄処分の費用相場
5、神棚・お札の処分方法
6、仏壇の中に、骨壺(遺骨)がある場合の対処法
7、仏壇処分と同時に、墓じまいをしたい場合
8、仏壇処分と同時に、遺品整理をしたい場合
9、遺産相続人と仏壇相続の関係
10、まとめ
はじめに:仏壇処分の大まかな流れを知る
仏壇や位牌を処分する大まかな流れを、初めに知っておきましょう。実際の手順は次の3つのステップになります。
step2:仏壇の中身を整理する
step3:仏壇本体を廃棄処分する
各ステップにそれぞれ2~3通りの方法・やり方があります。以下にステップごとに解説しますので、あなたの環境や条件に適した方法を選択して進めてください。
1、step1:魂・お性根抜き供養をする
1-1、仏壇処分前に供養をする理由
仏壇を処分する前に、「魂・お性根抜き」という供養をおこなうのが仏教の儀式として一般的です。
この理由は、仏教の多くの宗派では、初めて仏壇を家に入れたり、新しく仏壇を購入したりした際に、魂入れ(たましいいれ)・お性根入れ(おしょうねいれ)という供養儀式を行なっているからです。
この魂入れ・お性根入れの供養を一般に「開眼供養(かいげんくよう)」といいます。浄土真宗では魂の概念はありませんが、同じような儀式を「入仏供養(にゅうぶつくよう)」と呼びます。
魂・お性根を入れる対象物は、宗派により多少考えの違いはありますが、原則、仏壇内あるいは仏壇周りにある、
・ご本尊様(仏像や掛け軸)
・位牌
・遺影写真
・過去帳
などになります。こうして魂を入れる事により、仏様やご先祖様に対し日々供養を行っていく準備を整えます。
【供養対象物の例↓】
このように最初に魂・お性根を入れていますので、面倒を見られなくなって仏壇や位牌の整理処分をする場合には、この魂・お性根を抜くという供養儀式をするのです。
1-2、魂を抜くとは?
こうした儀式は一般には、魂抜き・お性根抜きと言われるものです。宗派により呼び方は変わりますが、多くは「閉眼(へいがん)供養」と呼ばれたり、また浄土真宗では「遷座(せんざ)供養」などと呼ばれたりします。
【魂・お性根抜きの例↓】
これら魂抜き・お性根抜きの対象になるものも、魂・お性根入れと同じく、「ご本尊様(仏像や掛け軸)・位牌・遺影写真・過去帳」となります。
仏壇や位牌を処分する前には、こうした供養を行います。では、このような供養儀式は具体的にはどうすればいいのでしょうか?
1-3、魂抜き供養の3つの方法
仏壇処分前の魂・お性根を抜く供養である「閉眼供養」などを実際に行うのは、以下の3つの方法があります。
供養方法2:檀家さんでない場合、僧侶紹介サービスなどを利用する
供養方法3:仏壇処分の専門業者に一式依頼する
以上3つの方法をひとつずつ見ていきます。
供養方法1:檀家さんの場合、寺院に直接依頼する
あなたがどこかの寺院の檀家さんの場合は、その檀家になっている檀那(だんな)寺へ直接供養を依頼します。檀家とは、檀那寺を寄付などによってその寺院の運営を支えている人たちを指します。
「仏壇を引き継げなくなったので手放したいため、その供養をお願いします」と伝えます。そうして、お坊さんに家まで来てもらい、直接仏壇の前で魂抜きのお経をあげていただきます。
檀那寺の場合は、知っているお坊さんに来ていただけるので安心です。ただ一方で、檀家という立場上、それ相応のお布施金額が必要になったりまた、お坊さんにお布施をいくら渡したらいいかわからなかったりという困り事もつきものです。
一般には、こうした供養でお坊さんにお渡しするお布施金額は、1~5万円程度が相場ですが、法外なお布施金額(数十万円)を要求する寺院もあるので事前確認がおすすめです。また別途、お車料(交通費)などが必要な場合もあります。
【お布施金額は悩みの種↓】
そして、ほとんどの場合、お坊さんは供養後に仏壇を持ち帰って処分してくれません。したがって、仏壇本体の廃棄処分は自らしなくてはならないので、これらも手間になります。
檀家さんでない場合やあるいは、さまざまな理由により檀家になっている寺院のお坊さんに頼みたくない場合には、別途次のような供養方法2があります。
供養方法2:檀家さんでない場合、僧侶紹介サービスを利用する
あなたが檀家さんでない場合は、僧侶手配サービスなどを利用することができます。このサービスを利用するメリットは、
・1回だけの供養を依頼できること
・後々のわずらわしい檀家関係が不要なこと
・お布施金額が一律で明確なこと
です。
一方で、どのようなお坊さんが来るかわからないというデメリットもあります。ただ、とりあえず形だけでも供養を済ませたい人には向いています。
僧侶手配サービスのお布施金額の相場は、すべて込みで3.5~4.5万円程度です。
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【僧侶手配サービスを利用した僧侶手配例↓】
また、魂抜き供養だけではなく、供養後に仏壇の引き取り処分を同時に依頼したい場合は、次の方法3のような仏壇処分専門業者にまとめて依頼するやり方があります。
供養方法3:仏壇処分専門業者に依頼する
魂・お性根抜き供養と仏壇の廃棄処分を、最初から一式まとめて依頼したい場合は、仏壇処分の専門業者に依頼します。
お坊さんによる供養はもちろんのこと、
A:仏壇の出張引き取りを希望するパターン
B:供養の対象物を送付する方法
の2つのパターンがあります。
パターンA:出張引き取りで供養処分してもらう
仏壇処分の専門業者に依頼する場合、次の3つの方法があります。
②お坊さんの訪問供養+仏壇の引き取り処分を同時に依頼
③仏壇を先に引き取ってもらい、業者の供養場にて供養と処分を依頼
①と②は、お坊さんに直接家まで来て供養してほしい場合に適しています。また、③はお坊さんに家に来てもらいたくなかったり、来てもらう環境になかったりする場合に向いています。
まず、あなたの希望として、
A:お坊さんに来てもらいたいか、来てもらわなくてもよいか?
B:仏壇の引き取り処分を自分でするか、依頼するか?
を決めて、これら2つの選択肢の組み合わせで依頼します。
③の仏壇を先に引き取ってもらう場合であっても、仏壇引取り後に魂抜き供養と廃棄処分をしてもらえます。供養後、供養証明書の発行をしてもらえたり、供養状況を写真や動画で確認できたりしますので安心です。
【仏壇の出張引き取り例↓】
もちろん、供養対象物である「ご本尊様(仏像や掛け軸)・位牌・遺影写真・過去帳」なども一緒に引き取り~お焚き上げ処分してもらえます。
あなたは何もしなくても良いので、もっとも楽な方法です。かかる合計費用は、仏壇の大きさなどにより、3~7万円程度です。
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パターンB:送付して供養処分してもらう
また、供養対象物である「ご本尊様(仏像や掛け軸)・位牌・遺影写真・過去帳」などを業者に宅配便などで送付して、魂抜き供養をしてもらう方法もあります。
仏壇本体を市町村の粗大ごみなどを利用してあなた自身が廃棄処分したい場合は、この送付による供養が経済的です。また、仏壇はすでに手元になく、位牌や遺影写真だけが手元に残っている場合に適しています。
【位牌や遺影写真の供養状況例↓】
【位牌を宅配便で送付する例↓】
送付した供養対象物は、業者の供養場でお坊さんによる魂抜き供養をしてもらった後、お焚き上げ処分をしてもらえます。こうした送付供養の専門業者を「供養じまい業者」と言います。
全国送付対応の供養じまい業者⇒https://reset-soul.com/ihai/
2、step2:仏壇の中身を整理する
自分で直接お坊さんに魂抜き供養を依頼したり、僧侶手配サービスを利用したりして、お坊さんによる供養が終わったら、仏壇本体を処分する前に、まず仏壇の中身をどうするか決めなくてはなりません。
仏壇本体についてはこの後「step3:仏壇本体の廃棄処分の方法」で解説しますが、その前に仏壇内部のいろいろなものを整理する必要があります。
仏壇の中身とは、次のようなものを指します。
②ご本尊(仏像や掛け軸)
③遺影写真
④過去帳
⑤仏具一式
【位牌の例↓】
【ご本尊(仏像や掛け軸)の例↓】
【遺影写真の例↓】
【過去帳の例↓】
【仏具一式の例↓】
それぞれについて整理方法を見ていきます。
2-1、位牌の整理処分の方法
位牌とは、ご先祖さまや父母・祖父母などの生前名や戒名・法名が書かれた、縦長の木の札です。黒い本位牌と白木の仮位牌があります。宗派によっては、掛け軸などに名前が書かれている場合(法名軸)もあります。
【白木の仮位牌(左)と黒い本位牌(右)の例↓】
【法名軸の例↓】
こうした位牌は、魂・お性根抜き供養後にお焚き上げをして焼却処分をするとよいとされています。ご先祖様の名前が書かれた位牌を、そのままごみとして捨てるわけにもなかなかいきません。
また、自分自身で引き続き位牌の供養はできなくても、思い出の品としてそのまま手元に置いておきたいという人もいます。
もちろん、仏壇は手放しても位牌だけは持っておいて供養を続ける場合は、魂・お性根抜き供養はせずにおきます。自分で供養ができない場合、檀家になっている寺院に永代供養を申し込むという方法もあります。
なお、お焚き上げなどは寺院にお願いできる場合もあるので、魂抜き供養をしてもらった寺院のお坊さんに尋ねてみましょう。また、仏壇処分の専門業者や、位牌送付の供養じまい専門業者に、魂抜き供養と処分を一式依頼する方法もあります。
全国送付対応の供養じまい業者⇒https://reset-soul.com/ihai/
これら詳しい位牌処分の方法については以下の記事に詳しく解説していますので参考にしてください↓
位牌を供養処分する2つの方法:継承できなくなったらどうする?
【供養じまい業者による魂抜き供養の状況例↓】
【位牌のお焚き上げの例↓】
2-2、ご本尊(仏像・掛け軸)の整理処分の方法
ご本尊とは、仏壇内の中央奥にある、仏像や掛け軸のことを言います。言わば、仏壇のメインとなるものです。真ん中がご本尊様で、左右両サイドは脇侍(わきじ)と言い、一般には3体セットです。
仏像のみ3体のセット、掛け軸のみ3体のセット、仏像1体と掛け軸2本のセットといろいろな組み合わせがあります。仏壇中央に1体だけの場合もあります。
【ご本尊の例①↓】
【ご本尊の例②↓】
ご本尊仏像や掛け軸も位牌と同じく、魂抜き・お性根抜き供養の対象になります。したがって一般に、魂・お性根抜き供養後にお焚き上げをして焼却処分をします。
位牌と同じく、お焚き上げなどは寺院にお願いしたりまた、仏壇処分の専門業者や位牌の供養じまい専門業者に、魂抜き供養と処分を一式依頼したりする方法があります。
【ご本尊仏像お焚き上げの例↓】
仏像処分の方法については以下の記事に詳しく解説していますので参考にしてください↓
仏像の処分の仕方:仏壇の中のご本尊・掛け軸をご供養する方法
2-3、遺影写真の整理処分の方法
遺影写真とは、一般に葬儀・通夜の時などに使用する故人の写真を指します。葬儀後は、仏壇の上の壁などに掛けられていることが多いです。日々、ご供養の対象として飾られています。
また、通常のスナップ写真を仏壇の中に入れて、遺影写真として大切にしている人もいます。
【写真の処分は悩みます↓】
カメラが発明されるまではもちろん写真は存在しませんでしたから、遺影写真もありませんでした。もともとは、葬儀社さんが葬儀の際に、セレモニーの一環として使用したのが始まりとされています。
したがって、本来は仏教とは無関係ですが、現在では一般に、故人の魂が宿っている大切なものと考えられ、位牌などと同じ扱いをする場合が多いです。
遺影写真の整理処分に当たっては、まったく気にしない人や仏教に信心のない人は、そのまま捨てても特に問題はありません。ただ、やはり両親やご先祖様の顔が映っているものですから、位牌などと同じように、供養してお焚き上げするほうが、心理的にも安心でしょう。
位牌と同じく、お焚き上げなどは寺院にお願いしたりまた、仏壇処分の専門業者や位牌の供養じまい専門業者に、魂抜き供養と処分を一式依頼したりする方法があります。
全国送付対応の供養じまい業者⇒https://reset-soul.com/ihai/
【遺影写真供養の例↓】
【遺影写真お焚き上げの例↓】
仏像処分の方法については以下の記事に詳しく解説していますので参考にしてください↓
遺影の処分の仕方:ご先祖様の遺影を供養する方法
2-4、過去帳の整理処分の方法
過去帳とは、ご先祖様の名前や戒名・法名が書かれた言わば記録帳のようなものです。ただ、浄土真宗など一部の宗派では、位牌は作らず、過去帳を位牌の代わりとしている宗派もあります。
【過去帳の例↓】
そういう意味では過去帳は、位牌などと同じくとても大切なものとして扱われていることになります。
したがって、過去帳の処分に当たっては、魂・お性根抜き供養後にお焚き上げをして焼却処分をします。
お焚き上げなどは寺院にお願いしたりまた、仏壇処分の専門業者や位牌の供養じまい専門業者に、魂抜き供養と処分を一式依頼したりする方法があります。
なお、過去帳に書かれている内容については、必要に応じ自分で別途記録するか、写真に撮って保存しておくとよいでしょう。
【過去帳供養の例↓】
【過去帳お焚き上げの例↓】
過去帳処分の方法については以下の記事に詳しく解説していますので参考にしてください↓
過去帳の処分方法:仏壇の中にある過去帳(過去帖)の供養と処分の仕方
2-5、仏具の整理処分の方法
仏具とは、線香立て・ろうそく立て・お花立て・おりん(チ~ンと鳴らす道具)・木魚など、供養に使用する道具を指します。
【いろいろな仏具の例↓】
仏具に関しては、そのまま自分で処分しても問題ありません。ただ、ごみとして廃棄するにはちょっと忍びない・自分で廃棄したくない、という人もいます。そうした場合は仏壇処分の専門業者や供養じまい専門業者に引き取り処分を依頼することが可能です。
以上、「step1の魂・お性根抜き供養」と、「step2の仏壇の中身の整理」が済んだら、最終的に仏壇本体の廃棄処分をします。
3、step3:仏壇本体の廃棄処分方法
仏壇本体の廃棄処分の方法には、主に次の2つの方法があります。
方法2:仏壇処分専門業者に依頼する
それぞれについて解説します。
3-1、市町村の粗大ごみ収集を利用する
step1の魂・お性根抜き供養を済ませた仏壇本体は、ただの入れ物・箱になります。位牌や仏像・掛け軸・遺影写真・過去帳の整理さえ終わっていれば、仏壇本体は、一般の家具(タンス)などと同じように、粗大ごみなどの廃棄処分で扱ってもよいことになります。
あなたが住んでいる市町村・自治体によっては、仏壇を粗大ごみとして回収処分してもらえます。
仏壇本体を自治体のごみ回収に出すには、通常は「粗大ごみ」として、住んでいる各市町村のゴミ回収のルールに従います。
【仏壇を粗大ごみとして出している例↓】
ただ、仏壇の場合、ごみ回収作業員の信仰する宗教の関係もあり、粗大ごみとして回収してくれない自治体もありますので、事前確認が必要です。
また、「魂抜きなどの供養を済ませていること」を回収の条件としている自治体もあります。いずれにしても、居住地の市町村役場のごみ回収窓口に事前に相談してみましょう、
一般に、仏壇を粗大ごみとして回収してもらう場合の費用は市町村により、無料~数千円程度です。
市町村窓口で「仏壇回収は専門店に相談してください」と言われた場合や、仏壇を粗大ごみ扱いすることに抵抗のある人は、次で説明するような仏壇処分専門業者に依頼する方法があります。
3-2、仏壇処分の専門業者に依頼する
step1の「魂・お性根抜き供養をする>供養方法3」で解説したように、仏壇本体の廃棄処分を仏壇処分の専門業者に依頼することができます。
専門業者の場合、魂抜き供養を済ませていてもいなくても、依頼することができます。また、仏壇内のすべてもの(仏像・掛け軸・位牌・遺影写真・過去帳・仏具一式など)も一緒に引き取ってもらえます。
【専門業者の仏壇引き取り例↓】
かかる合計費用は、供養代も含め、仏壇の大きさなどにより3~7万円程度です。
大阪の仏壇処分専門業者⇒https://reset-soul.com/lp1/
位牌など仏壇の中身だけを引き取ってほしい場合は、供養じまい専門業者に送付して依頼することもできます。
全国送付対応の供養じまい業者⇒https://reset-soul.com/ihai/
ここまで、仏壇処分の方法について解説しました。次に、仏壇処分の各方法別の費用相場についてまとめてみました。
4、仏壇処分の費用相場
仏壇処分に関連する費用を以下に項目別にまとめました。
4-1、お坊さんへのお布施金額の相場
魂抜きをしてもらった謝礼として、お坊さんへお布施をお支払いします。お布施は本来、寺院への寄付行為なので、原則的にはいくらでもよいことになります。お坊さんに聞いてもほとんどは「お気持ちで結構です」と言われ困ります。
【お坊さんにお布施を渡している例↓】
ただ、現実的には世間相場というものがあります。また、寺院の格式や宗派によっても差があります。数十万円のお布施を要求されたという話もよく聞きますが、魂抜きのお布施相場はおよそ以下の様になります。
B:僧侶紹介サービスの場合…3.5万円
C:仏壇処分専門業者の場合…仏壇供養処分料金に含まれる(約1~2万円程度)
また、お坊さんに遠方からおいでいただく場合は、別途+御車料が必要な場合もありますので、確認が必要です。
なお、もし数十万円という高額なお布施を要求されたら、その寺院との檀家関係を考え直す良いきっかけかもしれません。(50万円とか100万円とか言われる場合が現実にあります)
次に、仏壇本体の廃棄処分費用の相場です。
4-2、仏壇本体の廃棄処分の費用相場
仏壇本体を廃棄処分する費用相場は、パターン別に以下の様になります。
0~数千円(仏壇本体のみの場合、魂抜き供養料は別)
B:仏壇処分専門業者に依頼する場合
3~7万円(魂抜き供養&仏具一式込み)
C:粗大ごみ収集と供養じまい業者を同時利用する場合
2~5万円(魂抜き供養込み)
パターンAは、魂抜き供養が済んでいる仏壇本体を、市町村の粗大ごみ収集に出す場合です。パターンBは、魂抜き供養から仏壇本体&仏壇中身の一式すべてを、専門業者に依頼する場合です。
さらに、パターンCは、位牌やご本尊などを供養じまい業者に送付して魂抜き供養を依頼してから、仏壇本体を粗大ごみで出す場合です。
あなたの環境や条件により、最も適したパターンを選択すればよいでしょう。
次に、仏壇とは別に神棚がある場合について解説します。
5、神棚・お札の処分方法
仏壇とセットで神棚を同時処分する人が多いのが現実です。どちらも信仰の対象ですが、仏壇と神棚では宗教が違います。仏壇は仏教であり、神棚は神教です。
【神棚は神教↓】
ただ、日本では「神仏習合」の歴史があり、神様と仏様が同一視されていたこともあり、同じようなものとしてとらえている人も多いです。
ただ、同じ処分をするに当たっても、仏教には明確なルールがあり、神教には明確なルールがありません。ルールとはいわゆる経典というものの存在です。
仏壇の処分に当たっては、上記で解説したような流れで行うのがルールですが、神棚の処分では、神社によっても考え方が違います。神棚処分の現実的な方法には、大きく以下の3ケースがあります。
ケース2:お札を神社へ返納し、神棚はお焚き上げ焼却する
ケース3:そのまま廃棄処分する
神社へ何か所か回って「神棚の処分方法」について尋ねてみましたが、おおむね以上のような3つのケースの回答に集約されました。
【神社を回って聞いてみた↓】
つまり、仏教のように統一された考え方はないようです。自分にとって、どの方法が一番良いかは迷うところですが以下を参考にして、最適な方法を選んでください。
「タタリや迷信などが気になる」もしくは「神棚に神様の魂は宿っていると思う」という人は、迷いなくケース1の「祈祷する」方法を選択してください。
また、「祈祷するまでもないが、やはり多少は神様のことが気になる」という人は、ケース2の「お札返納後お焚き上げ」が良いでしょう。
【神棚の中のお札の例↓】
そして、「神様は信じない。気にしていない」という人は、ケース3の「そのまま廃棄」や「お焚き上げ」でけっこうかと思います。
神道とは、「神から教えを請うのではなく、自分自身の良心でその地域の神々と共存する道を歩む」ことが基本的な精神です。そのため、最終的には自らの良心で判断し選択することが大切です。
「神棚処分の方法」の詳細は以下の記事を参照してください↓
神棚を処分する3つの方法:ご祈祷は必要か?
6、仏壇の中に、骨壺(遺骨)がある場合の対処法
時々、仏壇の中に位牌などと一緒に、骨壺(遺骨)を置いてある場合があります。仏壇を整理処分する際に、この遺骨をどうすればいいか悩む人も多いです。
【仏壇の中の骨壺(遺骨)例↓】
「仏壇と一緒に廃棄してしまえばいい」と思っている人もいますが、遺骨を勝手に廃棄処分すると法律違反です。遺骨の処理については「墓地、埋葬等に関する法律」に定められており、「埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行なってはならない」とあります。
つまり、遺骨を手元に持っておくこと自体は違法ではありませんが、捨てられないからといって、勝手に裏山や自宅に庭などに埋めたり、ごみで捨てたりすると違法になります。
もし、仏壇の整理処分の際、同時に骨壺の中の遺骨を処分しなければならなくなったら、自治体の許可を受けた墓地や霊園に入れなければなりません。
墓地や霊園とは、自治体が管理運営をしている「公営墓地」、寺院境内やそこに隣接する「寺院墓地」、石材店などが運営主体の「民間墓地」になります。
【いろいろな墓地の形態がある↓】
もともとお墓のある人はそのお墓に入れればよいのですが、お墓のない人やお墓を建てるつもりのない人は、上記のどこかの墓地や霊園に遺骨を埋蔵しての納骨する必要があります。
お墓のない人が、法律違反することなく遺骨の処理・納骨をするには、大きく以下の7通りの方法があります。
方法2:合同墓に埋蔵する
方法3:納骨堂に入れる
方法4:仲間と一緒に共同墓に埋蔵する
方法5:散骨する
方法6:樹木葬をする
方法7:そもそも火葬場で遺骨を引き取らない
【合同墓の例↓】
この7つの方法については、以下の記事に詳しく解説していますので参考にしてください↓
お墓を建てずに納骨や遺骨の仕舞いをする7つの方法
7、仏壇処分と同時に、墓じまいをしたい場合
仏壇処分をする主な理由は、両親が亡くなったり、実家を処分したりで、引き継ぐことができなくなることです。同じような理由で、同時にお墓の世話や継承もできなくなり、いわゆる「墓じまい」をする人も一定割合でいるのが現実です。
こうした「墓じまい」とは、墓石を撤去し、遺骨を取り出し、お墓をきれいに元通りにして管理している霊園などに返却する、ということになります。取り出した遺骨は、別の墓地や霊園に再納骨する必要があります。
ところが、ほとんどの人が初めての経験なので、「何から手をつけたらいいの?」「どんな手続が必要か?」「取り出した遺骨は具体的にどうすればいい?」「手続きや作業はどこへ頼めばいい?」などわからないことだらけです。仏壇の整理処分とはまったく違うやり方になりますので注意が必要です。
一般に、墓じまいの方法(基本的な流れ)は以下の3ステップにまとめることができます。
墓じまいの流れ3ステップ
②魂抜き供養後、墓石を撤去し墓地を返還する
③遺骨を引越し先(再納骨先)へ納骨する
となります。
【墓じまいには役所手続きが必要(書類例)↓】
これら詳しい墓じまいの方法については以下の記事に詳しく解説していますので参考にしてください↓
墓じまいとは?:失敗しない墓じまいの知識と進め方
8、仏壇処分と同時に、遺品整理をしたい場合
現実には、仏壇処分と遺品整理を同時にするパターンが多いです。仏壇だけを単独で整理処分する場合ももちろんありますが、遺品整理の一環として仏壇処分をする人がたくさんいます。
【遺品整理をしている途中の例↓】
遺品整理とは、故人や故人の部屋に残されたたくさんの荷物(遺品類)に対し、
1、必要なもの・思い出のもの・大切なものを分別する
2、不要なものをリサイクルしたり、廃棄処分したりする
という2つに分けて実行します。こうした中で、仏壇や位牌などがどちらになるのかを見極めることになります。
遺品整理の具体的な進め方は、大きく次の5ステップになります。
ステップ1:想い出の遺品類(形見品)の仕分け
想い出のもの、必要なものや重要なものを仕分けして確保・保管する
ステップ2:リサイクル可能なものの仕分け
残った不要なものの内、リサイクルや資源再利用可能なものを仕分けする
ステップ3:ゴミの分別
残った不要なもの(ゴミ)を、燃えるもの・燃えないものなどに分別する
ステップ4:分別したゴミを処分する
分別したゴミをそれぞれ廃棄処分する
ステップ5:家屋・部屋の各種手続きや処理を済ませる
清掃や原状回復・リフォームなどをして、退去や売却等の手続きをする
これら詳しい遺品整理の方法については以下の記事に詳しく解説していますので参考にしてください↓
初めてでもできる「遺品整理の仕方」5ステップ
9、遺産相続人と仏壇相続の関係
仏壇・仏具・位牌・神棚・神具・遺骨・墓地などは、まとめて「祭祀財産(さいしざいさん)」と呼ばれます。この祭祀財産の相続は、一般的な金品などの遺産とは切り離されて考えられています。
【仏壇や位牌は祭祀財産】
遺産相続人と祭祀財産承継者は、民法上は別になるのです。法律や遺言によって祭祀承継者として指定されると、仏壇やお墓を引き継いで、その後の祭祀(各種法要や墓参り、供養などの儀式)を行なう義務が生じます。
ただ、義務は生じますが、その義務の履行自体が強制されるわけではありません。したがって、仏壇や位牌などについて継承できない場合は、その仏壇や位牌そのものの処分も承継者に任されます。ひらたくいえば、引き継いだ者が勝手に処分しても問題ないということになります。
祭祀財産承継者は最後の義務・責任として、仏壇や位牌を処分する際には、魂・お性根抜きなどの仏教儀式(法要)を済ませてから廃棄することが望ましいと考えられます。
10、まとめ
以上、「仏壇処分の3つの方法と進め方:魂抜き供養から廃棄処分までの流れ」について、関連する内容も含め解説しました。
いずれにしても、面倒を見られなくなった仏壇や位牌などを手放し処分する際には、家族や親族がいる人は、充分な話し合いをしておきましょう。そして、のちのちトラブルが起きないよう、みなさん了承の上で進めることが最も大切です。
関連記事⇒位牌を処分する2つの供養方法
大阪の仏壇処分専門業者はコチラ⇒https://reset-soul.com/lp1/
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