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墓じまいの費用相場:失敗しない「墓じまい費用」の基礎知識

先祖代々のお墓を継承できない、面倒を見られないなど、墓守(はかもり)ができずに仕方なく墓じまいをする人が年々増えています。

墓じまいとは、墓石を解体撤去し墓地(聖地・霊地)を元通りに原状回復し、管理している霊園などに返却することをいいます。そして、埋葬されていた遺骨は別の永代供養墓などへ改葬(引っ越し~再埋葬)します。

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しかし、ほとんどの人にとって墓じまいは初めての経験なので、「いったい費用はいくらくらいかかるのか?」「足元を見られてだまされはしないだろうか?」など、わからないことや不安だらけです。

ただ、心配することはありません。墓じまいでかかる費用には一般的な世間相場があり、「どのような費用構成」になっていて、「相場はいくらくらいなのか?」を知っておけば、安心して墓じまいを進めることができます。

今回は、これら「墓じまいの費用相場:失敗しない墓じまい費用の基礎知識」について具体的に解説します。

墓じまい3つの費用構成

墓じまいとは、賃貸住宅の引っ越しに似ています。賃貸住宅を退去・引っ越しするときは、部屋をきれいに元通りに原状回復し、家主さんに返します。そして家具や荷物は新しい引越し先に持っていきます。

同じように墓じまいは、借りている墓地(聖地・霊地)を元通り更地に戻し、取り出した遺骨は引越し先である別の納骨場所へ移動~再納骨します。この一連の墓じまいを「改葬」ともいいます。

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「墓じまいの費用」というと一般的には、この「墓石を撤去~処分して墓地を現状回復する費用」だけが主体と考えられがちですが、実際にかかる費用は大きく分けて以下A.B.C.の3つで構成されています。

【墓じまいにかかる3つの費用構成】

A.墓地の原状回復費用(墓石解体処分など)

B.遺骨の引越し先での納骨費用(永代供養墓など)

C.お坊さんへのお布施(魂抜きご供養など)

低料金を強調した墓じまいサービスを見かけますが、これは主に上記Aの「墓地の原状回復費用」のみである場合が多く、他の費用(B.C.)を含んでいないことも多いので注意が必要です。

また上記A.B.C.以外にも、檀家を離れる場合は離檀料を寺院から求められることもあります。以下では、A.B.C.3つの費用それぞれの、内容と費用相場について解説します。

墓じまい3つの費用相場

A.墓地の原状回復費用の相場(墓石解体処分など)

墓地の現状回復とは、墓石を解体撤去~廃棄処分し、遺骨を取り出したあと、墓地(聖地・霊地)を土や砂利などで埋め戻し整地して、元通りに復元することをいいます。これらにかかるすべての工事費用が原状回復費用です。

ちなみに墓地の面積1区画の単位のことを、「聖地」「霊地」という場合があります。「聖地」は民営霊園、「霊地」は公営霊園で使われることが多いです。

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1聖地とは3尺(90cm)角で0.81㎡、1霊地とは100cm角で1㎡の広さになります。以下の費用相場については、もっとも多い墓地面積2㎡以下、つまり約2聖地または2霊地以下の広さを基準にして述べています。

原状回復費用とは具体的には以下のような項目になります。

・墓石の解体撤去~運搬搬出費
・墓石の廃棄処分費
・遺骨の取り出し費
・墓地(聖地・霊地)の埋め戻し整地復旧費
・工事機械・車両・埋め戻し材料費等

これら原状回復費用の相場ですが、工事通路が確保されていることや、階段等複雑な構造でない限り、

平均的な墓地面積2㎡以下の場合およそ18~22万円程度

が相場です。2㎡を超えると1㎡ごとに2~5万円ずつアップしていきます。地元の個人経営の墓石屋さんなどに直接依頼すると、中間マージンなどが不要ですからもっと安くできる場合もあります。

中には2㎡以下で10万円という低料金の業者もあります。ただ、こうした業者では、取り出した遺骨を再納骨する永代供養墓の申し込みが必須セットになっているなど確認が必要です。

墓じまい業者は、おもに墓石業者や霊園の運営母体が多いです。またネット上では、一括見積もりサイトなどもあり、それらを利用することでより低料金の業者を見つけることも可能です。

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しかし、どのような業界でも言えることですが、「安かろう悪かろう」では意味がありませんから、しっかり見極めが大切です。

なお、多くの業者では自治体手続きである「改葬許可申請」を代行して行なってくれます。ただ注意するポイントは、業者が広告などで謳っている料金には、「A.墓地の原状回復費用」だけで、以下に述べる「B.遺骨の引越し先での納骨費用」「C.お坊さんへのお布施」が含まれていないことが多いことです。

B.遺骨の引越し先での納骨費用(永代供養墓など)

墓石を解体撤去したら埋葬されていた遺骨を取り出します。墓守ができなくなった、つまりお墓の面倒を見られなくなり墓じまいをするわけですから、取り出した遺骨はあなたが将来的に直接、供養や面倒を見なくてもよい状況にするのが一般的です。

とはいえ、遺骨をゴミで出したり、たとえ自分の土地であっても埋めたりしたら法律違反になります。「墓地、埋葬等に関する法律」で決められているからです。

実は、墓じまい後の遺骨の取扱い方法には以下の様な3つのやり方があります。

【墓じまい後の遺骨の取扱い、3つの方法と費用相場】

①永代供養墓へ再埋葬する【費用相場3万円~数十万円】

②散骨する(埋葬しない)【費用相場5万円~30万円】

③自宅保管する(埋葬しない)【費用相場0円~1万円】

それぞれについて見ていきます。

①永代供養墓へ再埋葬する

墓じまい後の遺骨の取扱いでもっとも一般的な方法が、「①永代供養墓へ再埋葬する」です。永代供養墓の種類として、

1、他人の遺骨と一緒に納める「合祀墓(ごうしぼ)、合同墓(ごうどうぼ)」
2、屋内施設の「納骨堂」
3、仲間と一緒に入る「共同墓」
4、一般の墓と同じ「個別墓」

などがあり、費用もピンきりです。

【合祀墓の一例】

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もっとも費用がかからないのが、「送骨納骨」を利用した「合祀墓」への埋葬で3~5万程度です。また最も費用がかかるのが、「個別永代供養墓」で数十万~200万円程度です。

ただ、墓じまいをする人の状況からすれば、できるだけ経済的には負担のないようにしたいはずです。したがって、多くの方は「合祀墓」や「納骨堂」を利用します。「合祀墓」や「納骨堂」で一番多く利用される価格帯の費用相場は5~20万円程度が一般的です。

なお樹木葬などは、この「合祀墓」の一種と捉えられます。

②散骨する(埋葬しない)

墓じまい後の遺骨の取扱いの中には、あえてお墓に再埋葬せず、海洋散骨をするという選択肢もあります。多くの散骨専門業者が、「委託散骨」「合同散骨」「個人散骨」の3種類のメニューを揃えています。ただ、漁業者などとのトラブルも多く、自治体によっては「散骨禁止条例」を公布しているところもあります。

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散骨の費用相場は、上記メニューの違いにより、だいたい5~30万円程度です。

デメリットは、のちのち遺骨がどこにあるのかわからないことです。「命日やお盆にお参りに行く特定場所がない」と、後悔する人もいるということですので、慎重な判断が必要です。

また、自治体での改葬許可申請手続きの際、書類の「改葬先の場所」欄が「海」となり、受け付けてもらえない場合もあるので、事前の問い合わせが必要です。

③自宅保管する(埋葬しない)

墓じまい後の遺骨の取扱いで、当面費用がかからないのが、自宅保管する方法です。骨壷のまま仏壇の中などで保管するなら0円です。墓地以外の場所に「埋蔵」「収蔵」すれば法律違反ですが、埋蔵そのものをせず自分で保管すれば違反にはなりません。

遺骨を骨壷に入れたまま自分で保管している人は、全国に約200万人いるといわれています。仏壇の中に骨壷があるのを時々見かけることがあります。このように法律では、遺骨を墓地に埋蔵しなくてはいけない期限が、特に定められているわけではないのです。

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また最近では、「手元供養」というスタイルの保管方法もあります。遺骨を納める容器(ペンダントなど)や、遺骨を加工したものを「手元供養品」や「自宅供養品」として、保管しておく方法です。この場合、かかる費用は容器代として数千円~1万円程度です。

以上、B.遺骨の引越し先での納骨費用の3つの相場についてでした。次に、C.お坊さんへのお布施(魂抜きご供養など)の費用相場について説明します。

C.お坊さんへのお布施(魂抜きご供養など)

墓じまいの際の仏教儀式には、遺骨を取り出す前に「魂抜き(たましいぬき)」「お性根抜き(おしょうねぬき)」という、お坊さんによる読経供養をするのが一般的です。これらは「閉眼供養(へいがんくよう)」とも呼ばれています。(浄土真宗では「遷座供養(せんざくよう)」といいます)

また、再納骨する場合は同じく「魂入れ」「お性根入れ」「開眼供養(かいげんくよう)」をします。(浄土真宗では「入仏供養(にゅうぶつくよう)」といいます)

お坊さんとお付き合いのある人は、直接供養を依頼すれば問題ありません。墓地・霊園が檀家寺の運営であれば、もちろんその寺院のお坊さんに依頼することになります。

また、お坊さんとお付き合いのない人は、インターネットで「お坊さん手配・紹介サービス」を利用するか、墓じまい業者に相談すれば紹介してもらえます。

墓じまいでお坊さんにお渡しする「お布施(おふせ)」の相場は、1回あたり3~5万円くらいが適当といわれています。また、お車料として5,000円程度を合わせて包むこともあります。地域により差はありますが、お布施の合計平均相場は35,000円程度が多いようです。

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お布施はあくまでも感謝の気持ちを表すものですから、実際にはいくらでもよいのです。常識の範囲内ならたとえ少額でも、お坊さんは不満をいうわけではありません。

ただ、どうしても金額に迷ったら、お坊さんに直接聞いて下さい。「いくらですか?」と聞くとビジネス取引になってしまいますから、「他の方はどれくらいお布施をされていますか?」と聞くのがよいでしょう。そのほうがお坊さんも答えやすいからです。

ちなみに、インターネットでの「お坊さん手配・紹介サービス」では35,000~45,000円くらいが平均相場です。これらを踏まえて、お坊さんに墓じまいの供養を依頼して下さい。なお「送骨納骨」サービスでは、魂入れ供養は代行してもらえることもあるのでご確認ください。

墓じまいの合計費用相場

まとめです。墓じまい(2㎡以下)にかかる3つの費用を合計した現実の相場は以下のようになります。(自宅保管は除く)

最安 最高 世間相場
A.墓地原状回復 10万円 25万円 20万円
B.遺骨の再納骨 3万円 200万円 10万円
C.お布施/回 1万円 10万円 3.5万円
合計 14万円 235万円 33.5万円

(条件:面積2㎡以下、階段なし、塀なし、搬出通路あり、工事車両通行可、お布施は魂抜きのみ)

最終的にはお墓のロケーションや各種条件また、再納骨するお墓の種類によって変化しますので、あくまでも参考としてご承知ください。

以上、「墓じまいの費用相場:失敗しない墓じまい費用の基礎知識」について解説しました。

納骨サイト墓じまい後の遺骨の送骨納骨(3万円)

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