中古不動産物件の売買において、その敷地内にお地蔵様が祀(まつ)られていることがあります。こうした例では、土地を売る側も買う側も心理的に抵抗があることが多いです。
【お地蔵様と祠(ほこら)の例↓】
そこで、売る側は売る前に、買う側は買った後、お地蔵様を撤去したいと考えます。ただ、そのお地蔵様がたとえ自分の敷地内にあったとしても、公共の道路に面して設置されている場合は注意が必要です。
その理由として、近隣・町内会の方々がお地蔵様のお世話をしていることが多いので、やはりある程度の合意・承諾が必要になるからです。
今回は、そうした点も踏まえ「中古不動産物件の敷地内にお地蔵様がある場合の対応方法」について解説します。
不動産敷地内にあるお地蔵様撤去の流れ
中古不動産を売買する際、敷地内にお地蔵様がある場合の撤去の手順・流れは以下のようになります。
2、お地蔵様の閉眼供養(魂抜き)をする
3、お地蔵様を撤去~処分、または移設する
4、祠(ほこら)や台座を解体・撤去する
手順1:関係者の合意を得る
たとえあなたの敷地内にお地蔵様が設置されていたとしても、そのお地蔵様の所有者が必ずしもあなたとは限りません。よくあるパターンは「町内会が所有者」の場合です。町内会がお地蔵様の設置場所としてあなたの土地の一部を借りている場合です。
【設置場所が個人の敷地内だが道路に面している例↓】
この場合は、お地蔵様の移設等を町内会に相談しましょう。もちろん、合意は必要です。
また、お地蔵様の所有者があなたの場合でも、ずっと面倒を見てくれてきた近隣の方々や町内会の合意を得ることが大切です。近隣の方々のお地蔵様への思い入れは、想像以上に大きい場合が多いからです。
特に、土地の売買により地主が変わった場合などは、トラブルに発展しやすいので注意が必要です。お地蔵様は「町内会の共有物」という意識が高いからです。まずは、実際にお世話をしている近隣住民や町内会長などに相談することが大切です。
中古不動産に関しては、こうした相談や了承を得た上で、お地蔵様の供養や撤去を行うのがベターです。
手順2:お地蔵様の閉眼供養をする
お地蔵様は仏像の一種なので、移動・撤去などに当たっては、魂抜き・お性根抜きと呼ばれる閉眼供養(へいがんくよう)の儀式を行うのが仏教の考え方です。
【お地蔵様の閉眼供養の例↓】
お坊さんにきてもらってお地蔵様の前で読経してもらいます。供養後、お地蔵様はタダの石像になりますので、移動や撤去・処分ができるようになります。
この閉眼供養を行う際には、できるだけ近隣住民や町内会の人たちに声がけをして参加してもらうことのが良いでしょう。
長い間面倒を見てこられた方々に参加してもらうことで、お地蔵様へのお別れと心のけじめを付けてもらうこともできるからです。
中古不動産物件売買に関するお地蔵様については、関係するすべての人にこのような儀式に参加してもらい納得してもらうことが、後々のトラブル発生を抑えるために大切です。
【近隣住民が参加する供養の例↓】
手順3:お地蔵様を撤去~処分、または移設する
閉眼供養が終わったらお地蔵様を撤去します。撤去後は、
2、廃棄処分する
の大きく2通りの方法があります。
寺院によっては、お地蔵様を引き取って永代に渡り供養をしてもらえるところもあります。ただ、このような寺院はあまり多く存在しません。また、費用もそれなりに掛かりますので、近所の寺院を一度探して尋ねてみてください。
引き取ってもらえる寺院がない場合は廃棄処分をします。石像は自治体の粗大ごみ収集では通常取り扱っていませんので、産廃業者に引き取ってもらったり、地蔵じまいの専門業者に依頼したりすることになります。
【石像は粗大ごみ収集には通常出せない↓】
産廃業者は処分のみをまた、地蔵じまいの業者は供養から撤去・処分まで一式を依頼することができます。
なお、実際にお地蔵様を祠から出して移動する時は、閉眼供養の儀式と同様、近隣住民や町内会の人たちに一緒に見守っていただくのが良いでしょう。
実際には、近隣住民の人で「自分で取り出したい」という人もいますし、皆さん手を合わせてお別れをするパターンも多いです。
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手順4:祠(ほこら)や台座を解体・撤去する
お地蔵様本体を撤去・移設したら、残った祠を解体・撤去します。一般に祠は、本体が木製で屋根が銅板で出来ています。そして、コンクリートやブロックで出来た台座の上に設置されていることが多いです。
ただ載せてあるだけで固定されていない場合もありますが、祠の内部で台座とボルト固定されていたり、針金などで固定されていたりと様々です。接着剤で固定されていることもあります。
祠を撤去したら台座を解体します。コンクリートやブロックが多いので、建築業者さんに解体処分を依頼することになります。
【コンクリート台座の例(祠撤去前)↓】
【コンクリート台座の例(祠撤去後)↓】
なお、祠の処分は、自治体の粗大ごみ収集で対応しているところとしていないところがあるので確認が必要です。また、台座を解体したコンクリートガラやブロックガラの処分は、一般に自治体では対応していないので、専門業者に依頼することになります。
まとめ
今回は、「中古不動産物件の敷地内にお地蔵様がある場合の対応方法」について解説しました。自分の敷地内だから大丈夫、と仮に法的に問題はなくても、心情的には近隣住民や町内会の方々と十分なコンセンサスを経ることが、トラブルを防止する最善策です。
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