孤独死を発見したり、その現場に遭遇したりした場合、親族や関係者、また集合住宅であれば、管理会社や大家さんはさまざまな対応を余儀なくされます。
警察などへの連絡や、その後の部屋の片付け・消臭、近隣への対策など各種処理を済ませていかなければなりません。そして、一通りこれらの対応が完了すれば、最終的に「孤独死のあった部屋の供養をどうすればいいか?」という問題に直面します。
【部屋の供養はどうする?】
ほとんどの人は、孤独死の現場に対しては経験がないので、最終的なけじめの付け方が分かりません。つまり、「部屋の供養はした方がよいのか?」「供養は本当に必要?」や、「供養する場合、お坊さんはどのように依頼すればいいのか?」など、悩む人も多いのです。
ただ、心配する必要はありません。孤独死の部屋の供養には、「2つのメリット」があります。この「2つのメリット」を踏まえた上で、さらに「部屋の供養をお坊さんに依頼する方法」を知っていれば、最終的に気持ちの整理やけじめをつけることができます。
今回は、特に集合住宅での「孤独死の部屋の供養方法」について説明します。
部屋の供養は必要か?
孤独死でなくなった人の葬儀やその後の各種法要・供養を、親族などがきちんと行なっていれば、「孤独死の部屋の供養は必要ないのではないか?」という考え方もあります。葬儀を終えていれば、故人の魂も成仏し、部屋の中に残ってさまよっていることもないと考えられるからです。
【葬儀を済ませば大丈夫?】
確かに、故人の供養という意味では充分でしょう。新たに部屋の供養をしても、お金がかかるだけであまり意味がないのではないか?と思っても不思議ではありません。
部屋の供養をする2つのメリット
ただ、孤独死の部屋の供養をすることには、特に賃貸住宅の場合には、以下の「2つの大きなメリット」があります。
1、近隣入居者へ安心感を与えることができる(信頼関係の保持)
2、大家さんの気持ちの整理ができる(自己満足感)
ひとつずつ見ていきましょう。
1、近隣入居者へ安心感を与えることができる(信頼関係の保持)
孤独死のあった集合住宅などの近隣入居者は不安感でいっぱいです。いわゆる「気持ち悪い」という感覚です。この感覚は自分自身に置き換えてみればわかるはずです。
たとえば、あなたの部屋の隣室で少なくとも数日間、ひっそりと死体が孤独に横たわっていたと想像してください。ちょっとこわいです。気味が悪いです。
特に隣室の人は、いやがって退去してしまうケースもあります。隣室の人でなくても、同フロアーの人や、同じ集合住宅の人なども、少なからず同様の気持ちがあるはずです。
【集合住宅では退去してしまうケースも】
したがって、孤独死の部屋の供養をきちんと行う一つ目のメリットは、近隣入居者者にとって、これらの不安感を払拭する大きな安心材料になることです。また、賃貸借契約を維持するためにも、この安心感は必要です。また、管理会社や大家さんに対して、信用・信頼感を持ってもらう最低限のマナーとなります。
供養を行う費用の相場は3~5万円程度かかります。ただ、居住者が退去したり、管理会社の対応マナーが悪いなどの評判が広まったりすることの損失を考えれば、大した金額ではないことがわかります。
2、大家さんの気持ちの整理ができる(自己満足感)
部屋の供養を行う二つ目のメリットは、なによりも大家さん(オーナー)の気持ちの整理ができます。次の賃貸居住者に部屋を貸すにしても、もちろん孤独死事案の告知義務はあると思いますが、きちんと供養を行ったという安心感があります。つまり、後ろめたさがかなり軽減されます。
【賃貸借契約書】
管理会社はビジネスとしてドライに考えがちですが、大家さん・オーナーにとっては賃貸物件は自分の持ち物ですから、やはり気持ちの整理をしておくと、あとあと楽になります。ただし、これはいわゆる自己満足感という感覚なので、必要ないとクールにとらえる人は、部屋の供養はする意味がないでしょう。
つまり、二つ目のメリットに関しては、ビシネスとしてよりも、人間関係の礼節を優先する人向けといえます。
部屋の供養の依頼の仕方(お坊さんへの依頼方法)
どのような供養が必要か?
「供養」という言葉は、もともと仏教用語です。昔のインドで使われていたサンスクリット語の「尊敬・崇拝」という単語を、日本語に訳したものが「供養」です。仏や父母・先祖に対し、お供え物を提供し資養したり、冥福を祈ったりする行為全般をいいます。
そして、ひとくちに供養といっても、仏教ではさまざまな種類の供養の儀式があります。たとえば、お通夜・葬儀・初七日・四十九日・〇〇周忌・納骨・お盆・月参り、などなどです。これらの各種仏式行事で、お坊さんに読経などを行ってもらう儀式のことを「法要」といいます。
【お盆の法要】
では、孤独死の部屋の供養は、どのような種類の法要がよいのでしょうか?これについては、「魂抜き」「お性根抜き」の法要がよいのではないかと思います。ひっそりと孤独に誰にも看取られず亡くなった故人の魂が、部屋の中をさまよっていると考えられるからです。
その故人の魂・お性根を、部屋から抜いてあげるのです。この「魂抜き」「お性根抜き」の法要は、仏壇・位牌の整理処分や墓の仕舞い・改葬をする場合にも行われています。魂・お性根を抜くことにより、孤独死のあった部屋は、もとの普通の部屋に戻るのです。
ちなみに、仏教のほとんどの宗派では、この「魂抜き」「お性根抜き」という概念がありますが、浄土真宗ではありません。その代わりに、浄土真宗では遷仏法要(せんぶつほうよう)という考え方があり、同じように読経の儀式が行われています。
要は、宗旨宗派が違っても、お坊さんにお経を上げてもらうことによって、孤独死のあった部屋をもとの状態に戻すという考え方です。
ただ、そうした場合、「どのようにして魂抜きやお性根抜きを進めたらいいのか困っている」「どこのお坊さんに頼めばいいのかわからない」という方が多いです。
お坊さんの探し方
魂抜き・お性根抜きの法要は、寺院・お坊さんに依頼します。あなたが、すでにどこかの寺院の檀家さんで、お坊さんとお付き合いがある場合には、その寺院のお坊さんに魂抜き・お性根抜きをお願いしてください。
【寺院】
檀家とは、その寺院の有料登録会員やサポーターのようなものです。一般的に、お坊さんは檀家さん以外に対して法要を行ないません。
ただ、最近は檀家離れが進むにつれ、寺院やお坊さんとの付き合いがない方も多くなっています。このように檀家さんでない場合、いきなり初めての寺院に、魂抜きやお性根抜きの法要をお願いしても断られる場合が多いです。いわゆる「一見さんお断り」というパターンです。
また、初めての寺院でも引き受けてもらえる場合もあります。ところが、「檀家にならなくてはいけない」などの条件があれば、今後のお坊さんとのおつきあいが煩わしい人にとって、しんどい話になります。
そうした際には、「お坊さん手配・紹介サイト」などを活用するか、「仏壇の供養整理処分業者」や「ご供養仕舞い専門業者」などに依頼することで、一回ポッキリで魂抜き・お性根抜きをしてもらえるお坊さんを見つけることができます。
「お坊さん手配・紹介サイト」は、料金も明確ですので安心して利用できます。また、孤独死のあった部屋に、仏壇や位牌が残されていた場合、「仏壇・位牌の供養整理処分業者」や「ご供養仕舞い専門業者」に依頼すればよいでしょう。
魂抜き・お性根抜きの手配から仏壇・位牌の最終処分まで、一式すべて行ってもらえるので、便利です。
【ご供養仕舞い専門業者による供養状況】
このように、孤独死の部屋の供養は、自分で行うことができないため、不安でわずらわしいと考えてしまいがちです。ただ、今回お伝えしたように、孤独死の部屋の供養には、「2つのメリット」があることを理解し、「お坊さんに依頼する方法」を知っていれば、気持ちよく孤独死への対応を終えることができます。
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