高齢社会化により身寄りのない人や孤独死が増えてきています。また、核家族化や子供の減少、さらには地域活動に参加しない人が増えてきているため、従来の葬儀にこだわらずに、簡単に葬儀を済ませたい人も多くなってきました。
以下では、火葬式のみを行う直葬について、そのメリットやデメリット、一般葬との違いについて解説します。
直葬(火葬式)とは何か？
直葬(火葬式)とは？
直葬とは、お通夜、告別式、初七日などの儀式を行わず、火葬場で近親者のみで火葬の儀式だけを執り行う葬儀形態の事をいいます。
葬儀会社やプランにもよりますが、故人とのお別れに必要最低限のものだけを揃えて行われます。家族葬や一般葬では祭壇を組みますが、直葬は棺のみで祭壇を組まないことが多いです。
直葬の流れ
直葬の流れの概略は以下のようになります。
↓
葬儀社に連絡します
↓
直葬希望を出します
↓
故人を火葬するまでの間、自宅や式場で安置します
↓
自宅や式場から火葬場に直行します
一般葬との違いとは？
一般葬の定義
一般葬とは家族・親族以外にも故人と生前ご縁のあった知人や友人、また仕事関係や近所の人など、一般の方に知らせて参列してもらう葬儀・葬式の形態です。
一般的には、祭壇も華やかに飾り、盛大な葬式になります。費用もそれなりにかかりますが、
誰が見ても遜色なく見栄えのする、いわゆる「立派な葬式」となります。
一般葬の流れ
一般葬の流れの概略は以下のようになります。
↓
病院でなくなった場合は、一旦自宅に連れて帰ります
自宅に帰れない場合は、祭壇を組んだ式場で安置します
↓
葬儀社と式次第の打ち合わせをします
↓
同時に、菩提寺（檀家寺）に連絡し、通夜・告別式の打ち合わせをします
菩提寺がない場合は、お坊さんのお手配をします
↓
一般的には、翌日に通夜、翌々日に告別式を行います
通夜、告別式ではお坊さんに来てもらい供養してもらいます
↓
一般葬の後に続けて初七日法要をする事が多いです（式中初七日）
一般葬は直葬とは違い、先祖代々の宗派やお墓などの関係を重視して、一定の儀式に沿って進めます。
直葬のメリット、デメリット
直葬のメリット
直葬のメリットは、なんといっても一般葬に比べて費用が圧倒的に安いことです。
直葬はという形態は、コストカットに特化して作られたプランですので、安ければ総額15万円程度までで済みます。一般葬は式場の広さにもよりますが、100～200万円以上かかることが多いです。
また、菩提寺との付き合いがわずらわしい場合もメリットがあります。なぜなら、直葬は密葬なので世間体を気にすることがありません。したがって、お坊さんを呼ばないでそのまま火葬したり、気軽に菩提寺ではないお坊さんを呼ぶこともできるからです。
ちなみに、火葬の際に、お坊さんによる読経儀式を省いたものが直葬で、お坊さんによる読経儀式を行なうものが火葬式と呼ばれています。
たとえ親子でも、故人との人間関係が悪い場合や、縁が遠いのに自分しか身内がいなくて、仕方なく葬式を執り行わなくてはならないという場合は、真っ先に選ばれるプランです。
直葬のデメリット
直葬のデメリットは、原則周りの人にお知らせしないで弔うので、後日故人が亡くなった事を知り連絡を入れてくれる方の対応に追われることになります。
また、お通夜や告別式をしないで、順番が来たらすぐに火葬場に向かう事になるので、ゆっくりと故人とお別れをする時間が取れません。そのため、故人と最期の時をゆっくり過ごす事が出来ません。直葬のデメリットは、まさにこの慌ただしさにあるかもしれません。
まとめ
一般葬は、故人が社会的地位が高いあるいは、知人・友人が多い等の場合に行う印象が一般的にはあります。
たとえば、60歳の若さでガンで亡くなった私の知人は、一般葬でお葬式をしました。職場の方や近所の方との付き合いが非常にたくさんある方だったので、斎場にはたくさんの方が弔問に来ていました。
そのおかげで、弔問客対応は通夜、告別式の時だけで済んで助かったと、ご遺族の方は後日談で話していました。葬儀が終わり落ち着いたころに、弔問客に追われることなくゆっくり故人を偲ぶことができたとのことです。
一方、直葬は、故人が知り合いの多い場合でしたら、葬儀後にしばらくの間、知らせなかった弔問客の対応に追われる覚悟はしておいたほうがよいかもしれません。
ただ、やはり直葬は、必要最低限のサービスだけなので費用は格段に安いです。しっかり事前の下調べをして、親族ともしっかり了承を取った上で、メリットとデメリットを天秤にかけ、後悔しない選択をしたいものです。
関連記事▶直葬の費用相場
