2010年を過ぎた頃から日本の高齢社会化にともない、寺院の檀家離れが急速に進んできました。これと並行するように、各種法要や供養を、従来のように菩提寺のお坊さんに依頼する家庭が減少傾向にあります。檀家関係をわずらわしく考える人が増えてきたのです。
一方で、一回だけの供養依頼ができる「お坊さんの手配サイト」を利用する方が増えてきました。寺院・お坊さんとのお付き合いが疎遠となってしまい、昔のように気軽にお坊さんに供養をお願いできない状況の人も多くなってきたのです。また、引っ越しなどで遠く離れた菩提寺のお坊さんに気軽に供養を頼めなくなる場合などもあります。
このように一回だけお坊さんに供養・法要にきて頂く場合、どのような準備をすればいいかわからない人も多いです。「仏具は最低限どのようなものを揃えたらいいか」や、「お坊さんに失礼のないために何を準備したらよいか」「お布施はどうのように準備すればいいか」などです。
今回は、仏壇や位牌の供養~整理処分をする場合など、浄土宗の開眼・閉眼供養(いわゆる魂入れ・魂抜き)を例に、準備するものを解説して行きます。他の宗派も概ねこれらを参考にすれば、基本的に大きな間違いはないと思います。
供養前に準備しておく仏具・備品
1、仏具関係(おりん、木魚など)
まずは最低限でも必要な仏具です。ここでいう最低限とは、「お坊さんが読経をあげるために必要なもの」という意味です。それらは以下のようなものになります。
【おりん】
いわゆる「チ~ン」と鳴らすやつです。りん棒、りん布団、りん台と合わせて4点セットがあるとベストですが、最悪りん台は無くてもオッケーです。
【木魚】
「ポクポク」とたたくものです。下に敷く木魚布団と、叩く棒(倍:ばい、といいます)と合わせて3点セットです。
【伏鉦(ふせがね)または、鉦吾(しょうご)】
「カ~ンカ~ン」とたたく鐘です。これはもし無くても大丈夫です。
【香炉(線香立て)】
火をつけた線香をさすための、灰が入った容器です。
【線香差し】
火をつける前の線香を入れる容器です。
【ローソク立て】
火をつけたローソクを立てるもので、火立や燭台ともいいます。
【花立て】
仏壇用の花瓶です。
【経机】
仏壇の前に置いて仏具などを置く台です。なければ小テーブルで代用します。
【座布団】
お坊さん用の仏壇の前に置く座布団です。仏前座布団、御前座布団などといいます。もし無ければ、一般的な座布団で比較的見栄えのよいもので代用します。
【ライターまたはマッチ】
よく忘れがちですが、ローソクや線香に火をつけるために必要です。お坊さんが持参してもらえる場合が多いです。
以上が最低限でも必要な仏具になります。なお、木魚や伏鉦は浄土真宗では使いません。これら以外にも、宗派ごとにたくさんの仏具がありますが、「お坊さんがお経をあげるため」には最低限以上のものがあればオッケーです。
2、消耗品関係(生花、線香など)
次にこれだけは準備しておきたい消耗品などです。
【線香】
長さ15cm程度の一般的なものでオッケーです
【ローソク】
浄土宗の開眼・閉眼供養の場合、読経は30分程度以内ですので、ローソクは長さ10cm程度のもので充分です。ロウソクの箱には通常、燃焼時間の目安が書かれていますので参考にしてください。
【生花(1対=2束)】
花屋さんやスーパーなどで売っている「仏花」です。「墓花」ではありません。「墓花」はお墓参りに行く時に持っていく生花になります。
【お供え物(茶、お菓子、お酒類)】
故人の好きだったものをお供えするとよいでしょう。
消耗品は以上のようなものになります。
お坊さんが持参する仏具
以上のものを最低限準備すれば、あとはお坊さんが供養に必要なものを持参していただけます。たとえば浄土宗の場合ですと、お坊さんは次のような携帯用仏具を持参されます。
【酒水器(しゅすいき)と、三丈(さんじょう)】
【香炉(こうろ)】
【御浄鐘】
その他の準備するもの(お布施関係)
また、法要・供養の読経が終わったあとお坊さんにお渡しするために準備しておくものとして、
【お布施(お布施袋と現金)】
【お車料(同上)】
【お膳料(同上)】
があります。檀家寺のお坊さんに供養をお願いすれば、お布施がいくら、お車料がいくら、といろいろ考えなければなりません。ただ、「お坊さん手配サイト」などで依頼した場合、上記すべてコミコミで相場は35,000~50,000程度です。
お布施を渡す際のマナーとして、直接手渡しするのはマナー違反になります。こうした場合、「切手盆」という小さなお盆を準備しておくことが必要になります。
【切手盆】
このようなお布施の渡し方マナーやお布施の相場についての詳細は以下のコンテンツをご覧ください。
まとめ
以上、お坊さんが家に来られて、お経をあげていただき供養をしてもらう場合に、最低限準備しておくものについて解説しました。お経机にまとめて載せるとこんな感じになります。
【必要なものセット】
あくまでも「お坊さん手配サイトなどで一回だけ利用する場合」の最低限です。将来的に檀家関係をしっかりと維持していく場合は、宗派ごと・寺院ごとにきちんとしたマナーを、お坊さんに指導していただき失礼のない様、厳守されることをおすすめします。
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