亡くなった父母および祖父母の遺品整理や手続きなどで、大変な目にあったという人も多いのではないでしょうか。元気なうちに情報を残しておいてくれれば、家族がストレスを感じずに済むというケースはたくさんあります。
そのため、終活をきちんとしておくことは、本人が自分の人生を振り返る良い機会なだけではなく、家族にとっても有難くうれしいものだといえるでしょう。
そこで、今回は終活を行ううえで、便利でかつ大切な役割を果たすエンディングノートについて解説して行きます。
エンディングノートの役割とは?
役割その1:家族が困らないため
まず、エンディングノートには自分の死後および病気やけがなどで意思疎通ができなくなった際に、家族が困らないようにするための覚え書きとしての役割があります。
ひとり暮らしの場合は特に、家族が手続き関係で苦労することが多いのが実情です。銀行やクレジットカード、賃貸住宅、電話など、生きている限り人はさまざまな契約を結んでいます。
「自分がどのような契約を結んでいるのか」についてメモ書きを残していなければ、家族が手続きを行うことが大変困難になるでしょう。
解約手続きなどをしないまま放置している期間が長くなると、金銭的に無駄がたくさん出てしまい家族が被る負担が大きくなります。
情報を書いておくことで、家族の負担を減らすのがエンディングノートの大きな役割です。
役割その2:自分の意思表示のため
2つ目の役割として、「自分の死後、葬式をどうしたいのか」「献体の意思、遺影にする写真のこと」など、自分の思いを家族に伝えることが挙げられます。
死後の葬式をどう挙げて欲しいかなどは、基本的に遺言状に書くべき項目ではありません。遺言状は一般的に財産や相続に関することのみ記載可能なので、エンディングノートで財産関係以外の自分の思いを伝えましょう。
エンディングノートに書くべき7つのポイント
エンディングノートには決まった書き方はなく、自由に好きなことを書き連ねることが可能です。
しかし、とりとめなくダラダラと書いてしまうと、読む側にとっては「何が重要なのか」「何がいいたいのか」がはっきりと伝わらない危険性があります。
そのため、エンディングノートの書き方として7つのポイントを意識することがおすすめです。
▶ポイント1:自分のこと
1つ目は自分に関することで、名前や生年月日、生い立ち、職業、思い出など自分史的なことを書き、どのような人物であるのかを明確にします。
▶ポイント2:葬儀やお墓のこと
2つ目は自分の葬式やお墓についてです。「家族葬が良いのか」「友人知人を呼んで盛大なものにしたいのか」など自分の希望を書いていきます。葬式に呼びたい人や呼びたくない人がいれば、その名前もメモしておきましょう。
▶ポイント3:手続き関係
3つ目の項目は手続き関係についてです。エンディングノートを書いた時点で契約を継続している生命保険や銀行、通信関係、クレジットカードなどは、できるだけ詳細に書きます。ただし、暗証番号などはエンディングノートには書かず、別の場所に保管しておきましょう。
エンディングノートは遺言状とは違い、基本的に生前に家族も見るものです。また、失くしてしまったときのためにも、重要な情報は書かないようにしてください。
▶ポイント4:財産リスト
4つ目は貴金属や車などの財産を列挙した財産リストです。こちらは遺品整理の際に役立つため、遺族の負担を減らす役割を果たします。
▶ポイント5:交友関係
5つ目は友人や会社の同僚などのリストです。自分に何かあったときに連絡を入れて欲しい人がいれば、名前とともに連絡先も書いておきましょう。
▶ポイント6:ネット情報
6つ目は自分が利用しているネット上のサービスに関する情報です。SNSやフリーメールアドレスなどで自分の不幸を知らせて欲しい場合はその旨を記載します。また、死後にサービスの退会を望む場合も、あわせて書いておいてください。
▶ポイント7:メッセージ
最後の項目は、今まで出会ってきた人たちへ向けてのメッセージです。家族や親戚、友人、同僚など、愛する人やお世話になった人への感謝の気持ちや思い出話などを書いていきましょう。
エンディングノートの書き方のコツ
1、一気に書き上げるより少しずつ
エンディングノートの書き方は自由といっても、どう書いたら良いのかわからないという人もいることでしょう。
書き方自体は本当に自由なため、手書きでもパソコンで入力したものをプリントアウトしても構いません。すでに述べた7つのポイントをすべて書かなくても、書き残したいものだけに集中することも可能です。
エンディングノートを無理なく作成するポイントに、一気に書き上げないということが挙げられます。毎日少しずつ書き重ねたり、項目によっては家族と相談して書いていったりすることで完成を目指しましょう。
2、便利な市販のエンディングノートを活用
また、エンディングノートは専用のものが売られています。専用のエンディングノートにはすでにたくさんの項目や欄が設けられているため、空欄を埋めていくだけで簡単に完成するでしょう。
どのようなことを書けば良いのかのヒントを得られるため、活用するのも良い選択肢といえるでしょう。
エンディングノートは気軽にかけるため、つい説明をはしょったり走り書きをしてしまったりすることがあります。しかし、意思疎通ができない状態になった場合は、とても重要な役割を担うのがエンディングノートです。
3、他人が読むことが前提
第一に他人が読むことを前提として、できるだけわかりやすく、きれいな字で書くように心がけてください。エンディングノートは遺言状とは違い、一度書いた文章を消して書き直したり書き足したりすることが容易に行えます。
備忘録やお役立ちノートとしても使える
エンディングノートはその名前から、自分の死後に役立つノートというイメージが強いかもしれません。しかし、実際はけがや病気で入院したときにもエンディングノートは活用できます。
例えば、専業主婦および専業主夫をしている方が病気で入院したとします。その際には入院した本人にしか知らない細かい家の中のことがたくさんあるでしょう。
入院中も家族が困っているのではないかと心配してばかりいると、治療に集中できず回復も遅くなってしまうかもしれません。エンディングノートは基本的に家族も共有できるお役立ちノートとしても使えるものです。
ハンコのある場所や親戚の連絡先など、日常生活と密接にかかわることも書いておくことで、自分がいなくても家族が困らない状況を作ることができます。
また、エンディングノートは書いている本人の備忘録としても活用できる優れたアイテムです。自分はまだ若いからといってノートの作成を避けるのではなく、年齢にあまり関係なくエンディングノートは積極的に作っておきたいものです。
エンディングノートで自分も家族も幸せになる
エンディングノートは自分の人生を振り返るきっかけになり、自分に万が一のときがあった場合に家族に迷惑をかけずに済む、とても重要なものです。
エンディングノートの書き方は自由であるため、時間があるときや思い立ったときにぜひ作成してみてください。エンディングノート用のノートは広く市販されています。
自分に最適なものを選ぶコツは、「自分がどのようなエンディングノートを作りたいか」によって異なります。大切な人たちへのメッセージをより多く残したい場合は、メッセージページがたくさんあるものを選びます。
ノートだけではなくデータとしても残したい場合は、ノートのファイルやフォームのデータがCD-ROMにも収録されているものがおすすめです。
エンディングノートを書くことは、自分の残りの人生について考える良い機会にもなるので、人生を最後まで精一杯生きるためにも、ぜひエンディングノートを作成してみてください。