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宗派の違うお坊さんに法要や供養をしてもらってもいいか?

私は仕事の関係でお坊さんの紹介や手配をすることがよくあります。仏壇や位牌の供養・整理・処分における魂・お性根入れ~抜きなどの開眼・閉眼供養や、墓仕舞いなどの供養が多いです。ただ、すべて希望の宗派のお坊さんを紹介できるとは限りません。

【宗派の違うお坊さんに来てもらってもよいか↓】

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このような場合、「宗派の違うお坊さんに法要・供養をしてもらってもいいのですか?」とよく聞かれます。私のいつも以下のように答えさせていただきます。

もし、あなたが宗派にこだわりを持っていたり、その宗派を心から信心していたりして、

「どうしてもその宗派の作法・しきたりや儀式の進め方でなければダメだ」

という場合は、その宗派のお坊さんに依頼してください。

一方、あまり宗旨・宗派に特にこだわりがなければ、仏教の基本的な宗教観や目的は同じなので、あなたがそれほど気にしないのであれば問題ありません。

ただし、お坊さんが必ずしも、違う宗派の仏壇の前でお経を上げてくれるとは限りませんので、依頼する場合は了承を得るなどの注意が必要です。

ほとんどの人は、信心の問題よりもセレモニーとしてのやり方に対し不安があるようです。結果として、あまり宗派にこだわる人はそれほどいないというのが現実です。

では、いったい仏教における宗派の違いとは何なのでしょうか?今回はこの違いについて考え、「宗派の違うお坊さんに法要や供養をしてもらってもいいか?」について、解説します。

1:宗派の違いとは?

1-1:宗派の種類

現在の日本の仏教にはいろいろな宗派があります。伝統があり教義がしっかりしているところだけでも13宗56派あると言われています。実際には、文化庁がまとめた「宗教年鑑(2016年版)」によると、数えるのが嫌になるくらいたくさんの教団・宗派が存在しています。

その中でも、私たちが葬儀や法要などでお世話になっていて、多くの日本人が普段から馴染みのある宗派は以下のような宗派です(順不同)。歴史の授業などでも習ったことがあると思います。

浄土真宗本願寺派
真宗大谷派
浄土宗
高野山真言宗
曹洞宗
日蓮宗
天台宗
臨済宗妙心寺派
時宗

さて、このようないろいろな宗派は、お坊さんに法要をお願いする立場で見た場合に、主に次の2つの観点からその違いを捉えることができます。

観点1:「悟りを開くための教え」の違い
観点2:「葬儀などでの作法や儀式の進め方」の違い

それぞれ見ていきましょう。

その1:悟りを開くための教え

1つ目の「悟りを開くための教え」とはつまり、悟りを開くためのノウハウ・方法が、宗派ごとに違うということです。

各宗派に共通する仏教の基本的スタンス、つまり仏教を信仰する共通目的は、「どうすればお釈迦さんみたいに悟りを開けるか」です。「悟りを開く」とはつまり、「仏陀になる、仏さんになる」ということです。

悟りを開き仏さんになることで、この世の苦しみ・悩みから開放され、救われるという考え方や教えを仏教ではしています。この悟りを開き救われるためにどうすればいいかの方法が宗派ごとに違うのです。

【悟りを開くために修行をする↓】

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「あなたが悟りを開くためにどのような方法(教え)を信じ、実践したいか?」が、宗派やお坊さんを選ぶ第一の判断基準です。たとえば、痩せるという目的が同じでも、自分に合うダイエットの方法がいろいろあり、どの方法を信じて実践するのかを迷うのと同じです。

宗派ごとにいろいろな方法(教え)があります。たとえば…、

・浄土宗では、ただひたすら「南無阿弥陀仏」と念仏を唱える努力で救われる
・浄土真宗では、「悪人正機説」と言って自分が悪人だと気づいた人が救われる「他力本願」
・曹洞宗や臨済宗に代表される禅宗系では、とにかく座禅をしなさいという教え
・真言宗では、誰でも正しい修業によって、その身のままで仏になれる「即身成仏」という考え方
・天台宗は、総合仏教と言って他宗派との区別なしに全員が救われるように菩薩の精神でいなさい、という教え

などです。普段あなたは、このようなことを意識して寺院やお坊さんと接していますか?もし意識していないのであれば、宗派の違うお坊さんに法要をお願いしても思想上の問題はないはずです。

その2:作法や儀式の進め方

さて、2つ目の「作法や儀式の進め方」の違いとは、葬儀や法要などでの読経や進め方、あるいはしきたりが宗派ごとに変わります。

たとえば、お通夜や葬式で唱える代表的な念仏は以下のようになります。

浄土宗や浄土真宗は、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」。いわゆる「なんまいだ~」です。
日蓮宗では、「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」
真言宗では、「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」
天台宗は、「朝題目夕念仏」と言って、朝に「南無妙法蓮華経」、夕方に「南無阿弥陀仏」

「南無(なむ)~」とは、「~に帰依します」という意味です。ひらたく言うなら、「~だけを信じます」「~が一番大好き」という感じです。

つまり「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」は、「阿弥陀さんだけを信じてるよ~、だから助けてね~」ということになります。また、「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」は、
「妙法蓮華経という経典(教え)だけが唯一の心の支えです」ということです。念仏とは、このように一種の宣誓です。

【教えが書かれた経本の例↓】

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また、しきたりの代表的な違いと言えば、浄土真宗で昔からお坊さんに肉食や妻帯が許されていることです。(現在の日本ではどの宗派のお坊さんもたいてい肉食妻帯をしていますが・・)

さらに、法要や供養で多くの宗派は、「魂・お性根」を入れたり抜いたりする「開眼供養」「閉眼供養」という儀式をしますが、浄土真宗は違います。同じように読経供養はしますが、「魂・お性根」という考え方はせず独自の「入仏供養」「遷座供養」を行ないます。宗派ごとに、ご本尊や総本山(大本山)、経典などもそれぞれ違います。

2:宗派の違うお坊さんへの対応

このような宗派の違いは、たとえば、政治家の派閥やあるいは、生花や茶道の流派と同じように考えると理解しやすいと思います。

要するに誰でも自分の信じる道へ進みたいわけです。また、好き嫌いもあるかもしれません。したがって、以上のような宗派の違いについて、普段から特にこだわりがなければ、法要などの儀式を滞りなく済ませるだけなら特にどの宗派を選んでもよいのです。

江戸時代に法律としての檀家制度ができてから、家の宗派の変更は長い間禁止されていました。ただ現在は「信教の自由」があります。実家の先祖代々の宗派とは別の宗派、あるいは別の宗教を個人的に信心することは、憲法でも保証されています。

たとえば、私の実家は曹洞宗ですが私自身は特にこだわっているわけではありません。昔から曹洞宗のお坊さんが出入りしていて、葬儀や法要も曹洞宗の儀式の進め方で行っているのを見てきただけです。

あなたも、もし「宗派の違うお坊さんに法要・供養をしてもらってもいいか?」と迷ったら、以上のような仏教の基本的な概念を見直してみてはいかがでしょうか?最後はあなた自身が判断すればよいことなのです。

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