お地蔵様のお世話をする人がいなくなり、撤去・処分・供養などの整理~仕舞いをしなければならなくなるケースが増えています。面倒を見ていた町内会の方々の高齢化であったり、土地の売買によるものであったりがその主な理由です。
【お地蔵様供養の例↓】
ただ、どのような手順でお地蔵様の供養や整理~仕舞いをしたらよいかわからない人も多いです。
今回は、お地蔵様にはどのようなタイプがあるかを確認した上で、その供養と撤去処分の流れと手順について解説します。
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お地蔵様とは何か?
お地蔵様とは?
お地蔵様は普段道端などでよく見かけます。特に西日本で多く見かけます。あまりマジマジと観察することはありませんが、よく見てみるといろいろな形をしていることがわかります。
いわゆる仏像のような人の形をしたもの、石版に顔や姿が彫られているもの、ただの石ころ状や岩のような形のもの、石碑状のもの、五輪塔の形をしたもの、など様々です。なぜこのように同じ地蔵様と呼ばれるものでも統一感がないのでしょうか?
昔から日本には、各地域に道祖神という守り神がありました。道祖神は、自然の石や石像・石碑・岩などで、いわば道ばたにある自然の神様です。
山や森などを神様として崇める日本古来の自然崇拝もこの一種です。これら道祖神、つまり自然物が、民間の信仰の対象になっていました。
【自然岩を祀っている例↓】
そして、奈良時代の538年、日本に仏教が伝わってきたことがきっかけで、民間信仰である自然物や道祖神と、仏教信仰の仏像とが結びついて、目に見えるわかりやすい地蔵菩薩(ぼさつ)像として広く普及していったのです。(菩薩は仏像の種類の一つです)一種の神仏習合の始まりと言えます。
さらに、とげ抜き地蔵、子安地蔵、子育て地蔵、身代わり地蔵、しばり地蔵、しばられ地蔵、水子地蔵などに姿を変えることにより、どのような願い事でも気軽に頼める地元のお地蔵さまとして、一般の民衆に広く認知されていったのです。
お地蔵様のタイプ
お地蔵様は、民間信仰である道祖神と仏教信仰の仏像とが結びついてできたものですから、自然石に近いものから仏像の姿そのものまで様々な形態があります。いわゆるお地蔵様の姿はしていないけれど、お地蔵様として日々手を合わせる対象になっているような自然石状のものもあります。
具体的には、次のようなタイプのお地蔵様(またはお地蔵様として扱われているもの)があります。すべて地元の守り神として、町内会や地元民あるいは、自宅の庭などで代々祀られお世話をされているものばかりです。
【仏像の形をしたもの(立像)↓】
【石版や自然石に姿が描かれたもの↓】
【石版や自然石に姿が彫られたもの1↓】
【石版や自然石に姿が彫られたもの2↓】
【石状・自然石状のもの↓】
【五輪塔の形をしたもの↓】
お地蔵様の撤去処分方法
お地蔵様の整理仕舞いの流れ
このようにお地蔵様にはいろいろなタイプのものがあります。ただ、高齢化が進む日本の各地では、だんだんとお地蔵様のお世話ができなくなり、撤去処分せざるを得ない状況が増えてきました。
こうしたお地蔵様の撤去処分を含めた一連の整理仕舞いをするには、一般に次のような手順で行います。
お地蔵様仕舞いの手順
2、お地蔵様の魂抜き・お性根抜き(閉眼供養)をする
3、お地蔵様を撤去~処分、または移設する
4、祠(ほこら)を撤去~処分する
5、台座を解体撤去する
1ステップずつ見ていきましょう。
手順1:関係者全員の了承を得る
お地蔵様を整理~撤去する前に大切なことは、お地蔵様に関係する団体や個人全員の同意や了承を得ることです。関係者とは、
・お地蔵様の持ち主(建造主)
・お地蔵様設置場所の土地提供者(貸主)
・お地蔵様の世話人(町内会や近隣住民)
・お地蔵様の作成・設置費用を負担した人たち
です。こうした人たちの同意を得ずお地蔵様を撤去してしまうと、後々トラブルの原因になります。
【町内会・近隣との話し合いと同意が大切↓】
例えば、お世話をしていた町内会の人たちの高齢化が原因の場合は、比較的周りの賛同が得やすいです。ただ、土地の売買により地主が変わった場合や、地蔵持ち主と土地提供者が異なる場合などはトラブルに発展しやすいので注意が必要です。
また、お地蔵様の持ち主・土地提供者・設置費用負担者がすべて同一人であっても、実際にお世話をしている近隣住民や町内会の同意を得ておくことは大切です。
こうした了承を得た上で、お地蔵様の供養~撤去に取り掛かりましょう。
手順2:お地蔵様の魂抜き・お性根抜き(閉眼供養)をする
お地蔵様を撤去する前に、まずお地蔵様から魂・お性根を抜きます。閉眼供養と呼ばれる仏教儀式です。この供養はお坊さんに依頼します。
お坊さんに直接お地蔵様の前でお経をあげてもらいます。供養にかかる時間は宗派にもよりますが、概ね15~20分程度です。こうした供養の際に、町内会や近隣住民、関係者の方にお声がけして参加していただくと良いでしょう。
【お坊さんによる地蔵様の魂抜き供養例↓】
お坊さんへの依頼の仕方には次の3つの方法があります。
お坊さんへの3つの供養依頼方法
2、インターネットの僧侶手配サービスを利用する
3、お地蔵様仕舞いの専門業者に依頼する
ただし、浄土真宗では、「魂・お性根」という概念がないので、一般的にはお地蔵様の魂・お性根抜きを依頼しても断られるケースが多いです。浄土宗や真言宗などは受けてもらえます。
具体的に、お坊さんへの3つの依頼方法を見ていきます。
依頼方法1、直接寺院へ依頼する
あなたが檀家さんの場合や、お坊さんとお付き合いがある場合は、直接、寺院へ閉眼供養を依頼するのが良いでしょう。
最大のメリットは、知っているお坊さんなので安心できることです。ただ、デメリットは、お布施の金額をいくら渡したらよいか悩むことです。
一般に魂・お性根抜きのお布施金額相場は、1~5万円程度です。(宗派や寺院により変わります)この他にお車料などが必要になる場合もあります。
【お坊さんへのお布施↓】
お布施は、名目上寺院への寄付に当たるので、お坊さんに聞いても明確に答えてくれない場合が多いので困ります。そうした場合は、次の僧侶手配サービスの料金を参考にしてください。
依頼方法2、インターネットの僧侶手配サービスを利用する
お坊さんへ依頼する2つ目の方法は、インターネットの僧侶手配サービスを利用することです。ネット上には、いくつかの僧侶・お坊さんの紹介・手配・派遣サービスサイトが掲載されています。
そのメリットは、お布施金額が一律ポッキリ明確で、わずらわしい後々の寺院との檀家関係がないことです。
ただ、デメリットして、どんなお坊さんが来るかわからないことです。1回きりとは言え、やはりそれなりのお坊さんに来てほしいところです。こうした不安がある場合、仏壇整理処分の専門業者と提携しているお坊さんは、スタッフが対応してくれますので比較的安心できます。
大阪エリアでのお坊さん手配サイトはこちら⇒
https://reset-soul.com/useful/obousan/
依頼方法3、お地蔵様じまいの専門業者に依頼する
お地蔵様の魂・お性根抜きをお坊さんへ依頼する3つ目の方法は、お地蔵様じまいの専門業者に依頼することです。
お地蔵様じまいの専門業者は、お坊さんの手配だけでなく、供養後のお地蔵様の撤去~処分や祠(ほこら)の撤去まで一連の作業を依頼でき便利です。
あなたは何もしなくても良いところが最大のメリットですが、その分費用については、自分ですべて行うよりもかかることです。
すべて依頼した場合の費用は、小さなお地蔵様で、お坊さんによる供養(お布施)~お地蔵様の撤去処分~祠の撤去処分まで含めておよそ9~10万円です。
大阪エリアでお地蔵様じまいの専門業者サイトはこちら⇒https://reset-soul.com/useful/jizou/
以上、お坊さんによる供養が済めば、次の手順としてお地蔵様の撤去などをします。
手順3:お地蔵様を撤去~処分、または移設する
お地蔵様の魂・お性根抜きが済めば、お地蔵様は単なる石像になります。単なる石像なので、法的には石や岩などのいわゆる「ガラ」として廃棄処分しても良いことになります。
ただ、石や岩などのガラは、通常市町村のゴミ回収では対応していません。自治体では回収引取りはしてもらえませんので、自分で産業廃棄物処理業者・石材業者・お地蔵様仕舞いの専門業者などに依頼することになります。
また、心理的に廃棄処分したくない場合もあります。そうした時は、お地蔵様を移設して永代供養してもらえる寺院などもありますので、近所の寺院に問い合わせてみましょう。わからない場合は、お地蔵様じまいの専門業者に相談すれば対応してもらえる場合もあります。
【お地蔵様の移設受け入れ先も探してみましょう】
ただ、廃棄処分と違って、お地蔵様の魂抜き・撤去・移設作業や永代供養は、費用が20~30万円程度かかるので検討が必要です。
手順4:祠(ほこら)を撤去~処分する
お地蔵様を撤去したら、次に祠を解体撤去します。祠は、台座(コンクリートやブロック製)の上に、ただ置いてある場合もあれば、台座にボルトや針金などで固定してある場合もあります。
固定してある場合の多くは、祠内部の床板(底板)を外した内部で固定されています。動かない場合はまず床板を外して確認してみましょう。
【台座に固定されている祠も多い↓】
撤去した祠は、心理的な抵抗がなければ、法的にはそのまま廃棄物として処分することが可能です。粗大ごみなどに出せるかどうかは、市町村によって対応が変わりますので、役場に問い合わせてください。(宗教的なものは回収しない自治体もあります)
市町村で対応してもらえない場合は、お地蔵様じまいの専門業者などがお地蔵様とともに祠も撤去引取りしてくれます。
手順5:台座を解体撤去する
祠の撤去が済めば、台座を解体します。台座は、コンクリート製やブロック製のものが多いので、斫(はつ)り工事が必要な場合があります。一般には、建築工事業者さんに依頼します。
土地の売買によるお地蔵様の撤去の場合は、家の解体業者さんなどでも引き受けてくれるでしょう。
まとめ
以上、「お地蔵様撤去・処分・供養の流れと手順」について解説しました。最も大切なポイントは、手順1の「関係者全員の了承を得る」ことです。
特に、日頃お世話をしてくださってきた近隣住民の方々の理解と了承は重要です。のちのちトラブルに発展しないよう、十分なコンセンサスを得ておきましょう。