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小さな寺院&ひとり住職さんの生き残りマーケティング

はじめに:

私は「供養じまい(TM)」というサービスを運営している関係で、小さな寺院やひとり住職さんからよく問い合わせがあります。仏壇や位牌などの供養依頼があった時に声をかけてほしい・協力提携したい、というものです。

時代の流れとともに、檀家離れ・宗教離れなどが進みつつあります。特に小さな寺院やひとり住職さんは法要・供養儀式の減少などで寺院運営が厳しいところが多く、少しでも供養・法要の機会を増やしたいというのが主な理由です。

こうした背景もあって近年では、一般の開業・起業希望の人だけではなく寺院運営者からも「供養じまいビジネス」について、その始め方やノウハウを教えてほしいという希望が増えてきました。

【位牌や遺影の供養じまいの様子↓】
位牌・遺影供養処分2

廃寺のニュースも最近ではよく耳にするようになっています。「このままでは寺院運営が先細りであり非常にきびしい。何とかしなければならない」という切実な理由から、新たな活路を求めているお坊さんが多いのも現実です。

そこで今回は、寺院・お坊さん向けに、供養じまいサービスの運営方法を参考にしながら「集客」を中心に「小さな寺院&ひとり住職さんの生き残りマーケティング」について解説していきます。

注)本文では「布教活動→集客」「寺院広報活動→マーケティング」「檀家さん→お客様」「お布施→売り上げ」「法要→サービス」「御勤め→業務」という通常寺院では使用しない言葉にあえて置き換えて使用していますのでご了承ください。

1、供養じまいサービスとは?

1-1、供養じまいサービスの概要

供養じまい(TM)サービスとは、継承者がいなかったり面倒を見られなくなったりした仏壇・位牌などの整理仕舞いや、それらに伴うお坊さんの紹介・供養の手配・納骨の仲介などを行う代行サービスを総称した造語です。

私は2008年にこの供養じまいサービスを専門業としてスタートし、2021年で14年目です。始めた当初は1か月でわずか1件しか受注はありませんでしたが、今では大阪だけでその約30倍の実績が得られるまでにニーズが急増しています。(仏壇・位牌・遺影・仏像など点数にすると月間約200点相当の供養依頼)

【ニーズが急増↓】
ニーズ急増イメージ

私自身は大阪の店舗を運営していますが、依頼1件当たりの売り上げは1~20万円程度です。(大きさや種類のより変動します)。さらにバックエンドサービスとして納骨や遺品整理などの依頼もあります。東京と愛知でもそれぞれFC店を展開しています。

直近の供養実績はコチラ↓
https://reset-soul.com/results.html

仏壇整理は都市部のニーズが高いですが、位牌や遺影写真など小物の供養品整理は宅配便送付による受付もしているため、全国からの供養依頼がここ2~3年加速度的に増えています。(たまに海外の日本人からも依頼があります)

供養じまいサービスはとても単純なビジネスモデルです。継承者がいなかったり面倒を見られなくなったりした仏壇や位牌の整理仕舞いで困っている人から依頼を受けて、それらをきちんと供養整理仕舞いするだけです。供養自体はお坊さんにとっては日常業務の一部です。あとはマーケティングスキル(集客ノウハウ)があれば、小さな寺院運営者やひとり住職さんにはもっとも取り組みやすいサービスです。

ところが、本来は寺院が行うべきサービスでありながら、なぜ多くの人たちは直接寺院に依頼しないのでしょうか?

1-2、供養じまいを依頼してくる人たちとは?

そもそも、供養じまいを依頼されるお客様は、仏壇や位牌の整理仕舞いで困っている以下の様な人たちがメインです。

ご両親を亡くされた40~60代のご遺族
高齢者施設に入居する方の親族
継承者のいない場合の親戚
成年後見人(司法書士・弁護士などの士業)
賃貸物件管理会社、大家さん、建設会社担当者
墓じまいをする方
町内会・自治会

いずれも面倒を見られなくなったり、継承者がいなかったりする仏壇や位牌の整理・仕舞い・処分で困っている人たちです。誰に頼めばいいのかわからず、どうしたらいいか悩んでいる場合が多いです。

困っているイメージ

寺院の檀家さんではないので相談するところがない人ももちろんたくさんいます。ただ、すでに寺院の檀家さんであるにもかかわらず、檀那寺やそこの住職さんに直接相談・依頼しない人も想像以上に多いのが現実です。なぜこんなことが起きるのでしょうか?

1-3、なぜ寺院に直接依頼しないのか?

日々私がお会いするお客様からよく聞く「供養を寺院に直接相談・依頼しない理由」は主に以下の様な内容です。

・供養を寺院に直接相談・依頼しない理由
①檀家ではないので一見さんとして寺院には相談しにくい(檀家以外は断られる)
②檀家であっても檀那寺が離檀を恐れていい顔をしない、引き留められる
③お布施額が不明、過去に高額を請求された、聞いても教えてくれない
④「お気持ちで結構です」といいながら、お布施額が足らないと不機嫌になる
⑤お坊さんに不信感がある(聖職者とは思えない生活態度など)
⑥離檀料や戒名返納料など訳の分からない名目で請求された
⑦檀家をやめたい、寺院との付き合いがわずらわしい
⑧単純にどこに相談すればいいかわからない、寺院は敷居が高い

などが多いです。これらは実際に聞く声です。こうした人たちの多くは、高額なお布施・不明確なお布施へのリスクを恐れていたり、檀家以外の人への排除感に敷居が高かったり、お坊さんへの不信感が大きかったりします。そのため、私が運営しているような、金額もサービス内容も明確でリスクの少ないサービスを利用するのです。

【お布施金額が不明確なのは最大のリスク↓】
お布施

逆に言えば、寺院やお坊さんが今までのようなブラックボックス的な対応をやめて、金額もサービス内容も明確にしていけば、檀家さんは減るどころか逆に増える可能性もあるのではと思います。(供養・法要はサービスや商品ではない!と言ってしまえばこの話は終わります)

2、供養じまいビジネスにおけるお坊さんの役割

2-1、私がお坊さんにお願いしている内容とは?

私はお坊さんでもありませんし、寺院を運営しているわけでもありません。したがって、こうした供養じまいサービスという代行業を行うには、寺院・お坊さんと提携したり助けてもらったりする必要があります。また、バックエンドで発生する納骨では霊園と提携したり、仏壇搬出後の部屋の片づけ需要では遺品整理屋さんと提携したりする必要があります。

メインはやはりお坊さんとの提携になります。1~2か月に1回程度の定期供養や、お客様からの希望による個別訪問供養などはすべてお坊さんに依頼するしか方法がありません。

具体的には以下の様な内容をお坊さんに依頼しています。

①供養場での仏壇・位牌などの定期的な魂抜き・お性根抜き供養
②お客様宅訪問による、仏壇の個別魂抜き・お性根抜き供養
③納骨時の墓前供養
④地蔵の魂抜き・お性根抜き供養
⑤孤独死後の部屋の供養

などです。

【仏壇の供養じまいの様子↓】
供養場例1

2-2、寺院・お坊さんの2つの側面

ビジネス的なことばかり述べましたが、寺院・お坊さんには実質的に大きく以下の2つの側面(役割)があると思います。

仏教従事者の2つの側面(役割)
1、スピリチュアル的な側面
いわゆる精神的支えや悩みの受け皿、駆け込み寺としての側面です。生きる意味の迷い、生きることのしんどさ、死後の世界への不安、成仏の仕方など、人間の根源的な悩み・苦しみについてそれなりの答えを与える役割になります。本来の寺院・僧侶の役割になるかと思います。

2、ビジネス的な側面
葬儀、法要、納骨、墓など仏教儀式・イベント類の実行や死にまつわる様々な現実の困りごとの解決手段を提供する役割です。スピリチュアル的な側面はボランティアとしての一面がありますが、これら儀式・イベント類の実行は、お布施という収入によって現実的にはビジネスの一種としてとらえることができます。

ところが、寺院がこうしたビジネス的な役割を実行している場合であっても、民間会社のように価格・金額が明確でないのでお客様は不安になって当たり前です。一方、スピリチュアル的役割を行っているときは本来の意味でのお布施(お気持ち・寄付)でもお客様は納得されるでしょう。

こうしたスピリチュアルとビジネスをきっちり分けて良心的に進めれば、檀家さんも安心して檀那寺を支えてくれるようになるはずです。

葬儀イメージ

3、小さな寺院の最大のビジネスメリット

仮に、この供養じまいというサービスを小さな寺院がきっかけとして取り組むとしたら、次のようなとても大きなビジネス的メリットがあります。

①供養儀式がいつでも自分自身で行える
②お堂を利用すればあえて供養場を準備する必要がない
③寺院という絶対的ブランドを使用できる

こういった基本的なビジネス環境・資源がそろっています。私はこのビジネスを行っていますが、上記3つの最大メリットを持っていません。自分はお坊さんではないので供養はできません。供養場は賃貸で借りているので賃貸料という固定費がかかります。さらに寺院ではないので、お客様から信用を得るのにそれなりの時間と労力と工夫と実績が必要です。(ちなみに「そちらは寺院ですか?」とよくいぶかしげにお客様から聞かれます)

ただ、こうした寺院としての最大メリットは持っていませんが、集客・マーケティングスキルというビジネススキルを持っているので、お客様から信用していただき依頼を受けることができています。

そして、このように供養じまいを希望するお客様に対し、整理仕舞い処分という目に見える結果以外でも実質はスピリチュアル的な満足を与えていることになります。それは「やっと心がスッキリした」「気持ちが落ち着いた」「これでご先祖様に顔向けができます」などです。供養じまいをされるお客様にもそれなりの悩み・苦しみ・後ろめたさがあり、それらが解消されることにより笑顔になってもらえるからです。

笑顔イメージ

4、寺院が集客スキルを持てばすごい威力に

以上のように、小さな寺院やひとり住職さんが集客・マーケティングスキルを持てばすごい威力になります。この武器はもちろんビジネスでもスピリチュアルでも応用可能です。

江戸時代に始まった檀家制度によって、長い間寺院は自ら集客活動(布教活動)をせずとも、勝手にお客様(檀家さん)が集まりました。しかもそのほとんどがいわゆるリピーターさんです。通常の民間経営者からみればこんなうらやましいことはありません。国家がお客様を勝手に連れてきて紹介してくれた挙句そのままずっとリピート注文してくれるわけですから。

ただ、昨今は檀家離れ・宗教離れによってなかなかうまく回らない時代になってきました。寺院も集客・マーケティングスキルを学習しないと運営を継続することが難しくなっているのです。とはいえ、何百年もマーケティング活動を行ってこなかった寺院・お坊さんがいきなり集客活動をするのはなかなか大変です。

おそらく一番依頼してほしいのは単価の高い「葬儀」関係だと推測します。とはいえ、いきなり葬儀の法要を依頼してくる人はなかなかいないでしょう。普段の小さなお付き合いがあってこそ初めて信頼関係を築けるからです。小さなお付き合いへの入り口やそのきっかけとして供養じまいサービスを利用するのも一つの方法です。

5、フロントエンドとバックエンド

ところで、一般のビジネスの多くでは、フロントエンド・バックエンドという考え方をします。入り口商品(フロントエンド)とメイン商品(バックエンド=本当に売りたい商品)を明確に区別して販売戦略を構築しています。例えば、

健康サプリの場合:
フロントエンド商品→1か月分1袋お試し(無料または数百円)
バックエンド商品→売りたい商品毎月定期お届け(毎月数千円)

リフォーム会社の場合:
フロントエンド商品→電球取り換え、トイレの水漏れ修理など小工事(数千円)
バックエンド商品→バス・トイレ・カーポートなどの大きなリフォーム(数十万円)

各種スクール・教室・スポーツクラブなどの場合:
フロントエンド商品→お試し体験講座、一日入門など(無料~数百円)
バックエンド商品→本入会(毎月数千円)

供養じまいの場合:
フロントエンド商品→仏壇・位牌の整理仕舞い(1~10万円)
バックエンド商品→遺品整理・部屋の片づけ(20~80万円)

そして、小さな寺院が仮に供養じまいサービスに取り組んだ場合は、
フロントエンド商品→仏壇・位牌の整理仕舞い(1~10万円)
バックエンド商品→葬儀やその後の法要&納骨&檀家獲得など(数十万円)

となります。

いきなり「檀家になりませんか?」と勧誘してもなる人はほぼいません。小さな寺院こそこうした入り口商品や入り口サービスを持つ必要があります。最近では、各種人生相談窓口やお悩み相談窓口を設置して敷居を低くしている寺院の取り組みが見られます。これも一つのフロントエンド商品です。相談料○○円ではなく、お布施の目安○○円という表現をしています。これなら安心して相談できます。

6、見込み客の寺院への誘導:問合せしてもらうには?

マーケティングスキルを上手に生かして運営を行っている寺院もたくさんあります。ホームページをただ作るだけではほとんど誰も見てくれないので、ホームページへ誘導するための広告戦略を駆使している寺院は廃寺の危機どころか安泰です。

さて、問題はフロント商品・フロントサービスへのお客様の誘導です。フロント商品・サービスに興味を持ってもらい問合せをしてもらわなければ何も始まりません。以下に供養じまいサービスの実例をもとに、問い合わせをしてもらう方法を解説します。

一般にリピーター客以外で、初めて問い合わせをしてもらう、つまり見込み客を集める方法は主に以下のどれかを使うしかありません。(リピーター対策は別になります)

1)ネット集客(主にホームページへの誘導・引き込み)
ネット広告(グーグル広告、ヤフー広告、フェイスブック広告・YouTubeなど)
SEO対策(ブログ、オウンドメディア・情報サイト・グーグルマイビジネス・YouTubeなど)

2)リアル集客(主に対面営業)
印刷物(チラシポストイン、カタログ配布など)
対面(訪問販売、勧誘など)
紹介(口コミなど)

3)マスメディア集客
新聞広告(新聞紙面広告、折り込みチラシなど)
テレビ広告(CM、取材など)

どのようなビジネスを行うにしても、主なマーケティング活動としてはこれらの1つまたは、2つ以上を組み合わせて行うしかありません。

これらの内、もっとも効果的なのが1)のネット集客です。費用はかかりますがすぐに効果が表れるのがグーグル広告やヤフー広告などのPPC広告です。検索結果の上位に表示してくれるサービスです。極端な例では広告を出したら1時間で問い合わせがある場合もあります。

また、直接的な費用はかかりませんが時間と手間がかかるのが、ブログ・オウンドメディア・情報サイトなどのSEO対策のためのメディア構築です。結果が出るまで数か月以上かかることもざらですが、一旦軌道に乗るとお金を掛けずに問合せを誘導することが可能です。

私は主にこのネット集客の2つを組み合わせながら運営しています。季節や社会状況に合わせて適時組み合わせの比重を変えていきます。供養じまいのようなお困りごと解決サービスの集客にはこの2つのマーケティングスキルは最適であり必須です。

【ネット集客は必須↓】
パソコン・スマホイメージ

まとめ

以上、小さな寺院&ひとり住職さんがマーケティングスキルを獲得すれば最強であるというお話をしました。なぜなら一般の人が持ち合わせていない経営資源を寺院はすでに持っているからです。その資源とは前述したように、①読経ができる②お堂スペースがある③寺院ブランドを持っている、という3つの大きなメリットです。

お坊さん以外の一般人でも多くの人が自分の持っているこうした資源に気付かず、まったく違ったジャンルで起業独立したり新規事業を始めたりしますがとてももったいない話です。

小さな寺院&ひとり住職さんこそ、ぜひこうした集客&マーケティングスキルを持ち、寺院という経営資源を生かした運営をすることにより、明るい未来を築けるよう期待します。

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