時代の変化とともに宗教に対する考え方もずいぶんと変化してきました。特に2010年ころを境に、寺院・お坊さんと檀家との関係や、宗旨・宗派への帰属意識の希薄化などが顕著になってきています。
【檀家離れが進んでいるお寺】
さらに、寺院の檀家離れも進んできています。仏教各宗派の教団・寺院も危機感を募らせ、ようやくいろいろな信者獲得対策に乗り出しています。しかし各宗派の信者数の統計発表などによると、それほど信者数は減っていないように見えます。実はここに一つの統計数字の落とし穴があると考えられます。
今回は、「日本における仏教の宗派別信者数」について、その集計方法なども含め解説します。
信者数の集計方法
私たち日本人は、お正月に神社にお参りに行ったり、葬儀などではお寺のお坊さんに法要をお願いしたりします。いわゆる多神教であり、逆説的には無宗教でもあるとも言えます。宗教に対する考え方が世界でも珍しい部類に入るのではないでしょうか。
たとえば、文化庁がまとめた平成28年版(平成29年2月発表)の「宗教年鑑」によると、日本における各宗教(仏教や神道、キリスト教などすべての宗教)の信者数は、合計約1億8900万人と、軽く人口を超えています。
つまり、神道も仏教も信仰しているので信者数が重複して集計されているからです。さらに、この信者数の集計方法には大きな問題があります。それは、この信者数が各教団の自己申告によるものだからです。
たとえば仏教の信者数の集計方法は、各教団(各宗派)によってバラバラです。代表的な仏教の各教団本部の発表によると計算方法は以下のようになります。
浄土真宗本願寺派…人口動態や平均世帯人数などから推定で算出し、792万人
真宗大谷派…独自で調査した門徒戸数✕3世帯で計算し、791万人(計算方法が違った前年の320万人からなんと倍増以上になった)
浄土宗…30年前から一貫して変わらず602万人。詳細計算方法は非公開
このように統一感がありません。また、そもそも「信者」の定義が宗教団体(宗派)ごとに違うので、一概に比較することもできません。
仏教の場合、基本は檀家数✕家族数です。これは、家族全員が同じ宗教を信仰しているという前提です。ただ、現在は個人の信教の自由が憲法で保証されていますので、家族がみな同じ信仰をしているという前提自体がおかしいのかもしれません。
このように、各宗派の信者数は自己申告に則った数字です。一般企業が「販売数ナンバーワン」と謳っているその横に小さく「(弊社調べ)」と書いてあるのと同じ原理です。あくまでも目安として考えたほうがよいかもしれません。
宗派別信者数
さて、文化庁がまとめた平成28年版(平成29年2月発表)の「宗教年鑑」によると、主な仏教教団の寺院数と信者数は以下の通りとなっています。
教団(宗派)名 | 寺院(団体)数 | 信者数 |
1 浄土真宗本願寺派 | 10,196 | 792万2823 |
2 真宗大谷派 | 8,540 | 791万8939 |
3 浄土宗 | 6,913 | 602万1900 |
4 高野山真言宗 | 3,626 | 383万1300 |
5 曹洞宗 | 14,716 | 351万1798 |
6 日蓮宗 | 4,659 | 348万6041 |
7 天台宗 | 3,337 | 136万3553 |
8 臨済宗妙心寺派 | 3,357 | 36万9893 |
この統計によると、寺院数で一番多いのは曹洞宗で14,716寺になります。また信者数では浄土真宗本願寺派が792万人でナンバーワンです。
さらに、第2位の真宗大谷派は算出方法を前年より変えたため、信者数が前年(平成27年)の320万4160人から791万8939へと一気に約2.5倍に増えています。6位から2位へ躍進です。
あなたを含め、日本人の多くはこの数字のどこかに入っていると思います。とは言え、現在では、宗教に対する考え方も多様化していますので、これら信者数の統計数字が特に大きな意味を持つわけではありません。
大切なのは、自分がどの宗教のどの宗派かということではありません。供養の目的は故人・先祖への感謝の気持ちを表すことです。あまり宗派などにこだわらなくても気持ちが大切です。
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