遺品整理をしたり、部屋の片付けで不要品の処分をしたりする場合、専門業者に依頼する人も多いと思います。専門業者とは、遺品整理・不用品回収・部屋の片付け・産廃処理業者などです。
しかし、部屋の中に仏壇や位牌などがあった場合、業者が引き取りを拒否したり、躊躇したりすることもよくあります。
こうした場合、仏壇や位牌は自分で整理処分するか、なんとかその業者に引き取ってもらえるような対策をする必要があります。
【遺品整理の作業中】
今回は、「遺品整理業者・不用品回収業者に仏壇引取りを断られたときの対応の仕方」について解説します。
引取りを断られる理由とは?
このような専門業者が仏壇の引取りを断る主な理由は以下の3つです。
2、仏壇の魂・お性根抜きをしていないから
3、位牌や遺骨(骨壷)が仏壇内に残っているから
それぞれについて見ていきましょう。
理由その1:仏壇処分に対応していないから
1番目の理由が、そもそも仏壇処分や仏壇整理に対応していない場合です。なぜ対応していないのかというと、その専門業者のオーナーやスタッフが、
・仏壇を供養して処分するノウハウやルートがない
・宗教的なものは取り扱いたくない
・敬虔な仏教徒なので信義に反する
という場合がほとんどです。このような業者は、依頼者であるあなたにまかせてしまうかまたは、仏壇処分の専門業者に外注することになります。
理由その2:仏壇の魂・お性根抜きをしていないから
2番目の理由は、仏壇から「魂・お性根を抜いていない」あるいは、「魂・お性根抜きをしているかどうか確認できない」場合です。
一般に、魂・お性根抜きが済んでいる仏壇はタダの箱として扱えます。専門業者としてもそれが確認できれば問題ないのでしょうが、魂・お性根抜きという「閉眼供養(へいがんくよう)」がまだであれば、仏壇の引取り処分を躊躇する場合がほとんどです。
理由その3:位牌や遺骨(骨壷)が仏壇内に残っているから
3番目の理由は、仏壇の中に位牌や遺骨(骨壷)が残っている場合です。通常、仏壇の中に何も入っていなければあまり気になりません。ただ、中に位牌や遺骨(骨壷)がある場合があります。
故人の戒名が刻まれた位牌は、親族以外の者はあまり触れたくないでしょう。また、骨壷の中の遺骨は勝手に廃棄処分することが法律で禁じられています。
遺骨は墓地埋葬法によってきびしく取り締まられているため、きちんと墓地や霊園などに埋葬しなければなりません。
こうした理由から、仏壇の中に位牌や遺骨(骨壷)がある場合は、引取りを断られる場合が多いのです。ご本尊(仏像)や遺影写真などがある場合も同様です。
3つの対策と方法
では、遺品整理業者・不用品回収業者に仏壇引取りをしてもらうためにはどうすればいいのでしょうか?そのための対策方法として、次の3つの方法があります。
2、仏壇供養処分の専門業者に依頼する
3、ご本尊や位牌を送付して魂抜きをしてもらう
1と2は、実際にお坊さんや専門業者に来てもらうことになります。また3は、魂抜き供養の対象品を送付するだけで済む簡易な方法です。それぞれを見ていきます。
対策1:お坊さんに仏壇の魂抜きをしてもらう
お坊さんに家に来ていただき、供養してもらう最も正式な方法です。直接仏壇の前でお経をあげていただきます。
一般に仏教の多くの宗派では、初めて仏壇を家に入れたり、新しく仏壇を購入したりした際に、「開眼供養(かいげんくよう)」という魂入れ(たましいいれ)・お性根入れ(おしょうねいれ)の儀式を行ないます。
こうして仏壇にはご先祖様や故人の魂が入っているため、整理処分する際には魂を抜くという儀式が必要になるのです。
魂抜きは、あなたが檀家の場合は旦那寺のお坊さんに依頼します。檀家でない場合はインターネットの僧侶手配サービスなどで探して依頼します。
お坊さんにきていただくのは昔からある一番安心できる方法ですが、準備や対応がわずらわしいというデメリットもあります。さらに檀家の場合は、お布施をいくら渡したらいいかわからないという心配もしなくてはなりません。
ただ、お坊さんに魂抜き供養をしてもらったあとは、仏壇の廃棄処分は遺品整理業者・不用品回収業者に任せればよいこととなります。
対策2:仏壇供養処分の専門業者に依頼する
また、仏壇処分の専門業者に依頼してもよいでしょう。お坊さんの手配だけでも行ってもらえますし、希望すれば魂抜き供養から仏壇引取り~最終処分まで一式行ってももらえます。
また、お坊さんを家に呼びたくない場合であっても、仏壇処分専門業者に任せれば、仏壇引取り後に魂抜き供養をした上で、供養証明書の発行などもしてもらえます。
あなたは何もしなくても良いので、一番楽な方法です。遺品整理業者・不用品回収業者が仏壇処分専門業者と連携している場合もありますので、一度聞いてみると良いでしょう。
対策3:ご本尊や位牌を送付して魂抜きをしてもらう
供養対象物を送付して魂抜き供養してもらう方法は、もっとも簡易な方法です。このやり方は、供養対象物である「ご本尊(仏像・掛軸)、位牌、遺影写真、過去帳」などを供養専門業者に送付して、魂抜きをしてもらう方法です。
【位牌を送付する】
送付して魂抜き供養をしてもらえば、仏壇本体はただの入れ物になりますから、通常の家具等と同じ扱いで処分することが可能です。
また、仏壇本体ごと送付することも可能ですので、そうした場合は廃棄処分手間も省けます。全国送付対応の仏壇・位牌の供養処分業者に依頼します。費用は1万円からです。
また、仏壇内に遺骨(骨壷)がある場合は法的にきちんと処理しなくてはなりません。お墓を持っている場合はそこに納骨すればいいのですが、お墓がない場合は勝手に捨てるわけにはいきません。遺骨を勝手に捨てると法律違反になります。
永代供養の納骨堂などへ納骨するのも一つの方法ですが、費用が通常10万円以上かかってしまいます。ただ、近年では「送骨納骨」という方法もあり、費用は3万円からと安価に抑えることも可能です。
まとめ
「遺品整理業者・不用品回収業者に仏壇引取りを断られたときの対応の仕方」について解説しました。
要するにきちんと魂抜き供養を済ませた仏壇であれば、こうした業者も引取りを拒否することはあまりありません。
魂抜き供養については、もちろんお坊さんにおいでいただくことが一番確実でしょう。ただ、あまり儀式にこだわりがない場合や、費用を安く済ませたい場合は、供養対象物を送付して供養処分する方法でも良いでしょう。
遺品整理業者・不用品回収業者に対し、きちんと供養は済んでいる旨を伝えて、気持ちよく作業を進めてもらいましょう。