従来、一般的に行われていた大規模な葬儀・葬式が敬遠されるようになってきました。変わって、小規模で経済的な「家族葬」を選択される人が増えてきています。そこで、今回はこの「家族葬」について、一般葬と比較しながらそのメリットやデメリットとともに解説します。
家族葬とは?
家族葬と一般葬の違い
家族葬は、実際には特に確立した法的定義が認められているものではありません。ある地方の小さな葬儀業者が始めたらしいといわれている、葬儀の新しい形式です。
最近の核家族の増加や、豪華な葬式を敬遠する傾向にともない、徐々に広く受け容れられるようになった小規模なお葬式の形です。
まず、従来広く行われていたいわゆる一般葬と、この家族葬の違いについて見ていきましょう。
一般葬といわれるのは、葬儀場などを大きく借りて盛大な形で個人を送るお葬式のことをいいます。社会的にそれなりの地位にある人や、大企業の役職者・芸能人などのお葬式などをイメージされると分かりやすいでしょう。
また、昔ながらの親戚付き合いなどが濃密でかつ、親戚・知人の人数が多いなどの場合は、一般葬で盛大な形で個人をお見送りするのも一般葬の分類に入ります。
一方、家族葬は家族・近親者のみで行う小規模でこじんまりとしたお葬式のことです。会場も比較的小さい場所を借りるか、自宅で行なう場合もあります。誰にも知らせず、家族のみでひっそりと行う場合もあります。
家族葬で香典は受け取る?
また、香典も一般葬では頂く場合が多いですが、家族葬ではお断りする場合が増えてきています。もし、葬儀後にご香典を持ってこられる場合も、丁重にお断りします。
香典を受け取らない理由としては、故人の意志もありますが、香典返しなどの手間も省けるなどの理由が大きいと思われます。
家族葬のメリット、デメリット
葬儀・葬式のイメージといえば、「お金がかかる」ではないでしょうか?ただ、家族葬の最大のメリットといえば、やはり葬儀費用です。人数が少なくて済む分、一般葬に比べ、費用を大幅に抑えることができます。
最近では、家族葬を専門に取り扱う業者も増えており、初期費用を抑えることで遺族の負担を減らせるプランもあります。
もちろん、そのプランには、火葬費用、祭壇費用、棺桶など備品の費用も、お葬式に必要な最低限のプランが見込まれていますので、各段困ったり、見劣りしたりすることはありません。
家族葬のおおよその費用の目安は、総額50万~60万円程度が相場です。一般葬となると、その倍以上の100万~200万円程度が相場です。もちろん地域の風習などにも左右され、その分が加算されることもあるようです。
また、お坊さんへのお布施などが葬儀費用とは別にかかります。準備段階で葬儀屋とよく話し合いながら、その総額を確認することが必要です。
家族葬のもう一つのメリットとしては、急な場合でも対応しやすいということです。昨日まで元気だった方が突然亡くなる、こんな非常時にも対応しやすいのが家族葬のメリットです。
このような緊急時にも家族葬は、いろんな方に連絡などをする手間も省けます。また、会場も小さくて済み、すぐに行えるお葬式の形態です。
一方、デメリットは、昔ながらのお葬式にこだわりがあり、故人を盛大に送りだしてあげたいお気持ちがある遺族にとっては、家族葬では物足りなさを感じる点です。
世間体、社会的な見栄などを気にする人が親族にいる場合は、よく相談の上、家族葬を選択することをおすすめします。
ただ、故人を思う気持ちや、故人を心から供養するという意味では、一般葬でも家族葬でも同じです。葬儀の形式とは、結局は残された親族のためにある選択肢だと思います。
家族葬と一般葬で迷ったら・・
家族葬と一般葬の違いを以下の表にまとめてみました。
一般葬 | 家族葬 | |
規模 | 盛大、豪華 | 小規模、こじんまり |
主な参列者 | 親族、会社・仕事関係など | 親族と親しい知人のみ |
会場規模 | 大規模葬儀会館 | 小規模ホールや自宅 |
参列者数 | 50~200名 | 10~20名 |
費用総額 | 100万~200万円 | 50万~60万円 |
イメージ | 定番、世間体、大々的 | 暖かい、家族的、こじんまり |
実際に葬儀を行うとなった場合、家族葬か一般葬かで悩むこともあると思います。ただ、現代の生活事情によりますます核家族化が進み、同時に超高齢化社会に突入する日本において、葬儀の在り方も見直されるタイミングに来ています。
一般葬のように盛大に行うのであれば、それだけ予算もかかり、手間暇や葬儀後のお礼などわずらわしさもあります。その分、世間体や見栄えはよいので、周りに胸を張ることはできます。「立派なお葬式だったね」といってもらえます。
一方、見えや世間体を気にせず、シンプルな家族葬で最低限の式を行い、本当に親しい近親者だけで故人を送り出す、そんな心のこもったお葬式も経験者にはなかなか好評です。
あなたも、故人が本当に喜ぶ(であろう)見送りの方法を探してみることをおすすめします。
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