大阪や神戸など人口の多い大都市圏では、親が亡くなったりあるいは、施設に入居したりするなどで、先祖代々の位牌の面倒を引き継いで見られなくなる人が増えています。
こうした際、これらの位牌をどのように整理・仕舞いをすればよいか、多くの人が困っている現状があります。特に大阪の中心部では、相談できる寺院とのお付き合いが希薄になってきています。とは言え、そのままゴミで出すわけにも行きません。
【仏壇内の位牌の例(右下)↓】
ただ、あまり心配する必要はありません。実際には、こうした位牌の整理方法には次の3通りの方法があります。
②魂・お性根抜きをして処分する
③とりあえず持ち続ける
今回は、これら3つの具体的なやり方や費用の相場など「大阪で位牌の供養処分をする3つの方法」について解説します。
位牌とは何か?
位牌とは?
位牌の整理方法の前に、位牌とはどのようなものを指すかを最初に確認しておきましょう。
仏教の多くの宗派では、位牌は一般的に仏壇内に祀(まつ)ってあります。故人やご先祖様の名前(生前名・戒名・法名など)、没年月日などが書かれた縦長の板状のものを、通常は指します。
ただ、掛け軸(法名軸)や過去帳が位牌の代わりをしている場合もあり、宗旨宗派によって形状が変わってきます。
【位牌のいろいろな種類↓】
位牌の意味
位牌の意味を知っておけば、仕舞いをする際に気持ちも整理できます。位牌とは、
「家の継承と継続への思い」
を表現したもので、先祖の霊魂を祀る(まつる)ものです。
位牌には「故人や先祖の魂・霊が宿っている」とされ、供養を継続して行うことにより、感謝の気持ちを故人や先祖に伝え、敬う対象物となっています。
ただ、位牌は必ず作らないといけないというものではありません。本来は日々お墓へ参って先祖供養すべきところ、位牌に魂を移し家で供養を行うために、仏壇内に置いていると言われています。
つまり、お墓の代わりとも言えます。
位牌の種類
位牌にはいろいろな種類があります。作る時期やその用途などにより、大きく次の3つのタイプに別れます。
2、本位牌(塗り位牌)
3、繰り出し位牌
の3種類です。
位牌のタイプ①:白木の位牌
白木の位牌とは、葬儀・葬式やその直近直後の仏事・儀式で臨時に使用するためのものです。親族が亡くなった後、急遽作る仮の位牌です。
白木に直接、戒名や法名・俗名を墨書きしたものや、法名紙という紙に書いたものを白木に貼ったものなどがあります。
【白木の位牌例】
【法名紙を貼った白木の位牌例↓】
白木の位牌は仮位牌なので、葬儀などが終わり四十九日の後に以下の本位牌に作り変えます。
位牌のタイプ②:本位牌(塗り位牌)
本位牌とは正式な位牌のことです。塗り位牌とも言われています。一枚物の板状で黒色のものが多く、なかには茶色のものもあります。
一枚物の板状の本位牌には、戒名や生前名が、
②夫婦連名で刻まれたもの
③夫婦連名の将来予定で作っておく1名分の本位牌
④先祖代々の複数名で刻まれたもの
などがあります。
【1名分単独で刻まれた本位牌例↓】
【夫婦連名で刻まれた本位牌例↓】
【夫婦連名の将来予定で作っておく1名分の本位牌例↓】
【先祖代々の複数名で刻まれた本位牌例(右側)↓】
前述のように、一般には仮位牌である白木の位牌は、葬儀などが終わり四十九日の後にこの本位牌に作り変えます。
ただ、浄土真宗では、四十九日までは白木の仮位牌を置くものの、その後本位牌を改めて作らず、法名軸(掛け軸)や過去帳を位牌の代わりとして用いる場合が多いです。(同じ浄土真宗でも、地域や家によっては位牌を作るところもあります)
この場合、法名軸(掛け軸)や過去帳が位牌の役割をしています。
【法名軸の例↓】
【過去帳の例↓】
位牌のタイプ③:繰り出し位牌
繰り出し位牌とは、正面に観音扉がついていて、上部の屋根状のものを外すと、薄い木の札が何枚も中に納められている箱型のものです。この中にある木の札には、それぞれ1枚ずつ先祖や故人の名前が記されています。
【繰り出し位牌の例↓】
【繰り出し位牌の例(取り出したところ)↓】
ちなみに、故人に授けられるこの名前のことを、浄土真宗以外の多くの宗派では「戒名(かいみょう)」といい、浄土真宗では「法名(ほうみょう)」「法号(ほうごう)」といいます。
これは宗派による考え方の違いです。「戒名」が戒律を守り仏門に入る者に対し授けられる名に対し、「法名」は仏の教えを守り仏弟子となる者に対し授けられる名を意味するものです。
【同じ浄土真宗でも、法名を掛け軸ではなく位牌にしている例↓】
大阪で位牌の整理をする方法
位牌整理の3つの方法
以上のように、位牌にはいろいろなタイプのものがあります。大阪地域で、面倒を見られなくなったり、継承できなくなったりした場合の位牌の整理方法は大きく次の3つです。
②魂・お性根抜きをして処分する
③とりあえず持ち続ける
それぞれの方法について解説します。
方法その①:永代供養に出す
位牌整理の1番目の方法は、位牌を「永代供養に出す方法」です。永代供養とは、あなたが位牌の面倒を見られなくなっても、あなたに成り代わって寺院などが引き続き先祖供養を行ってくれる便利なシステムです。
大阪で位牌を永代供養に出す場合は、一般には寺院などに依頼します。あなたが檀家(だんか)ならお付き合いのある檀那寺(だんなでら)に相談するのがよいでしょう。
また、檀家でない場合は、宗旨・宗派に関係なく受け入れてくれる寺院も大阪には多数あります。その後の檀家関係を強制されることもありますが、まずは近くの寺院・お坊さんに相談すればよいでしょう。
【お坊さんに相談してみる↓】
寺院以外の納骨堂や霊園などでも、遺骨以外のものでも永代供養を受け付けてくれるところもあります。
永代供養の費用相場は、寺院・宗派や永代供養のタイプによって幅があり、10万円~数十万円程度です。ただ、永代供養とは言っても、通常は33回忌を過ぎると寺院がお焚き上げなどの処分をする場合が多いので確認が必要です。
方法その②:魂・お性根抜きをして処分する
位牌整理の2番目の方法は、「魂・お性根抜きをして処分する方法」です。魂・お性根抜きは閉眼供養とも呼ばれます。
この方法は、位牌から魂・お性根を抜いてお焚き上げなどの廃棄処分をしてしまうやり方です。閉眼供養の方法には大きく、
2、位牌供養の専門業者に依頼する
の2つのやり方があります。
1つ目は、お坊さんに直接家まで来ていただき、位牌から魂・お性根を抜く供養をしてもらうやり方です。お坊さんにお渡しするお布施金額は1~5万円程度で、平均相場は3.5万程度です。その後、位牌は自分で処分するか、お坊さんが持ち帰ってくれる場合もあります。
【お坊さんに来てもらっての閉眼供養の様子例↓】
あなたが檀家なら直接檀那寺のお坊さんへ依頼します。寺院とお付き合いのない場合は、インターネットで「お坊さん紹介サービス」などを利用します。大阪には、宗派に関係なく対応してくれる寺院がたくさんあります。
大阪で魂抜きのお坊さん紹介サイトはこちら⇒https://reset-soul.com/useful/obousan/
2つ目は、供養の専門業者に位牌を送付して、魂・お性根抜き供養~お焚き上げ処分を一式依頼するやり方です。
供養の様子は目の前で直接確認できませんが、簡単で低料金、供養状況は動画で視聴できる手軽さがメリットです。位牌1柱あたり5,000円程度~です。
大阪で送付対応の位牌供養専門業者はこちら⇒https://reset-soul.com/ihai/
【専門業者による供養状況の例↓】
方法その③:とりあえず持ち続ける
永代供養にも出さず、処分もしない、というパターンもあります。経済的な問題や、どうするか決められない、という人もいるからです。
このような場合は、位牌を「とりあえず持ち続ける、保管しておく」という方法もあります。将来的にあらためて日々の供養を再開する予定ならそのまま、また供養は再開しないなら魂・お性根を抜いてから保管するのがよいでしょう。
ただ、基本的には位牌の面倒を見られなくなってのことですから、魂・お性根を抜いたあと、思い出の品として大切に保管しておくことをおすすめします。
まとめ
以上、「大阪で位牌の供養処分をする3つの方法」について解説しました。それぞれのメリット・デメリットを確認しておきましょう。
方法その①:永代供養に出す
メリット:代わりに供養をしてもらえるのでずっと安心
デメリット:費用が結構かかる
方法その②:魂・お性根抜きをして処分する
メリット:心の整理ができる、けじめがつく
デメリット:手元に供養対象物がなくなる
方法その③:とりあえず持ち続ける
メリット:将来的な選択肢ができる
デメリット:心の整理やけじめがつきにくい
あなたの現状と希望にあった方法を選択すればよいでしょう。
どの方法を選ぶにしても、忘れてはならないのは、「ご先祖様や故人に対する感謝の気持ち」です。この感謝の気持ちを忘れない限り、どの方法を選んでもご先祖様に対し失礼には当たらないでしょう。
ただ、位牌を整理処分するにあたっては、家族・親族間で同意を得た上で決定することが大切です。