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なぜお盆に墓参りをして先祖供養をするのか?

私たち日本人の多くは、お盆やお彼岸あるいは、故人の命日また何か節目のときなどにお墓参りをします。さらに、悩み事や苦しいことがあったときにも、お墓へ行ってご先祖様や故人に語りかけることによって、心が癒やされるということもあります。

特にお盆の時期には、お墓がある家庭では必ずといってよいくらいお墓参りをします。普段は当たり前すぎて考えたこともないですが、なぜお盆には皆こぞってお墓へ参るのでしょうか?

【お盆の墓参り】

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「あの世からご先祖様が帰ってくるから」となんとなく私たちは思っています。実はこのお盆の先祖供養の習慣は、葬儀後の初七日や四十九日、あるいは〇〇回忌と呼ばれる仏事などと同様、「元々の仏教+中国の信仰+日本古来の祖先崇拝」が複雑に絡まり合ってできたものです。

今回は、死者供養のルーツなどとともに、「なぜお盆に先祖を供養するのか?」について解説します。

死者供養の始まり

仏教が日本に伝わったのは、今から約1500年前の6世紀半ばのことです。また、僧侶が供養をするという慣習すなわち、葬儀などに関わり始めたのは鎌倉時代だと言われています。

【葬儀】

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もともと、古代では基本的に僧侶は官僚僧つまり公務員でした。公務員なので天皇に奉仕する行事に参加したり、神事に携わったりする必要がありました、したがって、官僚僧が死に関わることすなわち、穢れ(けがれ)に関わることはタブーとされていました。

ところが鎌倉時代に入って、鎌倉新仏教(浄土宗、浄土真宗、日蓮宗、曹洞宗など)が大きな影響力を持つようになり、官僚を離脱した民間僧たちが広く葬儀に関わるようになっていきました。これが、お坊さんが人の死に際し供養をするという慣習の始まりであり、私たちがいろいろな死者供養のための法事・法要を行なうキッカケになりました。

いろいろな供養の種類

お盆に墓参りをする以外にも、私たちはいろいろな死者供養を行ないます。最初に思い浮かぶのが、葬儀後の初七日や四十九日などの忌日(きにち、きじつ)法要です。別名、中陰(ちゅういん)法要と呼ばれる供養の習慣です。

これは仏教の「中陰」説がルーツとされています。中陰とは、死の瞬間(死有=しう)から次の生を得て(生有=しょうう)、転生するまでの宙ぶらりんの状態をいいます。死者の霊魂が新しい転生先が決まらず、この世をさまよっている最長期間が49日という説が日本では広まったのです。

そして、次に行われる供養の習慣が、年忌法要と呼ばれるものです。年忌法要とは、死後1年経過した命日(亡くなった年を起点に2年目)に行なう一回忌(一周忌)から始まります。

以降、亡くなった年を起点に3年目の三回忌、同様に七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌と続きます。一般的にはこの三十三回忌で最後とし「弔い上げ」と呼びますが、地域などによっては五十回忌、百回忌と続ける場合もあります。

そして最後の習慣が、お盆供養に代表される定期法要と呼ばれるものです。定期法要とは、毎年または毎月行なう法要のことです。毎年行うものとして、お盆の法要、お彼岸の法要、命日の法要などがあります。そして、毎月行う法要が月参りです。

仏教における法要はもともと最初の49日間、7日ごとに追善供養をするだけでした。現在では、一般に初七日と四十九日に法要が行われています。そして、本来はこの四十九日で終わりでしたが、日本では、仏教経由地である中国の儒教の教えや、日本古来の祖先崇拝の慣習が影響し、その後の百か日や年忌法要、定期法要が行われるようになったといわれています。

【法要の様子】

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お盆のルーツ3つの説

お盆の時期とは?

お盆は、本来は旧暦7月15日の満月の夜を中心に行われるものでした。盂蘭盆会(うらぼんえ)とも呼ばれます。明治の初めに旧暦(太陰太陽暦)から新暦(太陽暦)へ変わったのに合わせ、旧暦7月15日に近い新暦、つまり現在の8月15日を中心にお盆の法要が行われるようになりました。

ただ、一部の地域では、もともとの月日を重視し今でも新暦の7月15日を中心に行っているところもあります。これは、夏のお中元を送る時期が、地域によって旧暦を重視するか新暦を重視するかによってバラバラなのと似ています。

ちなみに関東は一般的に7月初旬から7月15日に、また関西では、7月15日~8月15日までにお中元を贈ることが一般的です。お盆の法要を行う時期もこのような地域の風習に左右されていると考えられます。

【地域によって違うお中元の時期】

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さて、このようなお盆の法要ですが、そのルーツには以下の3つの説があります。

1、仏教の経典「盂蘭盆経(うらぼんきょう)」
2、仏教+中国の道教+儒教の孝思想
3、仏教+日本古来の祖霊信仰

ルーツその1:仏教の経典「盂蘭盆経(うらぼんきょう)」

お盆は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」とも呼ばれ、その元になっているのが、「盂蘭盆経(うらぼんきょう)」という仏教経典です。経典とはいわば教科書です。この教科書には次のような内容が書かれています。

「ブッダの弟子の目連(もくれん)さんが、亡き母が地獄の一歩手前の餓鬼道(がきどう)という所で苦しんでいるのを見つけました。そこで、目連さんは7月15日にご先祖様の供養のため、多くの僧侶に食べ物を振る舞いお布施をしたところ、亡き母は救われた」

という概要です。7月15日とは、僧侶たちの夏の修行明けの日に当たります。お盆が7月15日に行われるのはこの経典にちなむとされます。これが元になり、お盆には先祖代々の死者に供物を捧げ供養をするようになったといわれています。

【僧侶の托鉢】

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ただ、この「盂蘭盆経(うらぼんきょう)」のさらに元になった経典もあるといわれています。それによると、お盆とは本来、施主が僧侶たちに布施をして供養をすることになっています。

ルーツその2:仏教+中国の道教+儒教の孝思想

仏教は今から二千数百年前にインドで始まり、アジアの様々な国々に伝わり、そこを経由して日本に伝わりました。経由した地域ごとに、さまざまな文化や習慣が交わり、仏教も変化していったのです。その内、中国で大きな影響を受けたのが道教と儒教です。

【道教のお宮】

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道教とは、中国で誕生した多神教で、中国民族(漢民族)の間で自然発生的に継承された民族固有の信仰と言えます。その信仰の中でも、7月15日は「中元」と呼ばれ、道教神を祀る贖罪の日とされています。

また、儒教の考思想とは、「父母を敬い,よく仕えること」です。そこから派生して祖先崇拝,とくに祖先の祭祀を尊重する思想にまで発展します。

このように、お盆は、仏教の思想にプラスして中国の道教や儒教の考思想が混合されて、それが日本に伝わり現在のような形になったといわれているのが、2つ目のルーツです。

ルーツその3:仏教+日本古来の祖霊信仰

仏教が日本に伝わったあとも、日本古来の文化風習が混合されました。たとえば、昔から日本には、仏像のような定形版の神さま像はありませんでしたが、それぞれの土地に道祖神という守り神がありました。道祖神は、自然の石や石像・石碑・岩などで、いわば道ばたにある自然の神様です。この道祖神と仏教の仏像がミックスされたものがお地蔵さまのルーツです。

【道端の道祖神】

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同じように、もともとインド仏教にはなかったのに、日本古来の「先祖崇拝」「先祖まつり」の文化風習が、仏教の供養という概念と習合して形成されたものの一つがお盆であるという説もあります。

なぜお盆に墓参りをして先祖供養をするのか?

以上のように、お盆のルーツには諸説ありますが、実際にはこれらの複数の説が複合したものと考えられます。ただ、根底にあるのは私たち日本人の「先祖崇拝」の心ではないかと思います。

そしてその心を大切にしながら、お盆という儀式を進めるにあたり、仏教という作法を利用しているだけかもしれません。現実的には、お盆に限らずいつでも先祖崇拝や先祖供養はできます。それをあえて仏教経典である「盂蘭盆経」にのっとりセレモニーを行っていると考えることもできます。

【お墓参り】

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ただ、お盆の行事だからといって、あまり作法や儀式にとらわれないことも重要です。忘れてはならないのは、仏教とは本来、死者のためのものではなく、私たち生きている者のために存在するということです。

お盆にお墓参りをして自分自身の心が洗われた気持ちになるのは、そういうことなのかもしれません。日本古来の「先祖崇拝」の心を重んじながらも、私達自身が救われることがもっとも大切なのではないでしょうか?

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